厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同会議は23日、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種後のアナフィラキシー報告事例492件などを評価し、ワクチンについて「安全性に重大な懸念は認められない」と結論づけた。新規の死亡事例4件についても、いずれも接種との因果関係は評価できないとした。
医療関係者と65歳以上の高齢者を対象としたワクチン接種は18日までに193万111回行われ、このうち副反応疑い報告数は3298件(0.17%)だった。
アナフィラキシーとして報告されたのは492件で、接種100万回当たりの報告件数は255件となり、前回報告された319件から減少。ほとんどの事例で軽快したことが確認されている。
アナフィラキシーかどうかを判断するブライトン分類に基づき評価した結果、アナフィラキシーと判定されたのは88件で、接種100万回接種当たり46件と前回の72件を下回った。
また、この日の会議では、ワクチン接種後の死亡事例4件が新たに報告された。
このうち、誤嚥性肺炎や気管支喘息等が原因で死亡した102歳の女性は、基礎疾患として誤嚥性肺炎等に罹患していた。専門家は、高齢でもともと全身状態があまり良くなかったとして、この女性の事例も含めた4件について「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できない」と判断した。
濱田篤郎委員(東京医科大学病院特任教授)は、死亡事例を踏まえ、「身体の状況が悪い高齢者は、接種を延期するなどのメッセージを出しても良い」とし、宮川政昭委員(日本医師会常任理事)も「ワクチンの供給状況が不十分な状況のために、焦って接種する傾向は怖い。今後は供給量も潤沢になるので、それまでは様子を見るよう勧めた方が良い」と同調した。
ただ、委員から接種中止を求める声は出ず、同会議はワクチンについて「安全性に重大な懸念は認められない」と結論づけた。