この日の部会で厚生労働省は、20年度と21年度の薬価改定の骨子で引き続き検討すべき事項として記載されていた、▽新規後発品の薬価算定▽基礎的医薬品の薬価改定▽診療報酬改定がない年の薬価改定のあり方――を22年度薬価改定に向けて議論すべき課題として示した。
さらに、低い開示度でも高額な薬価がつくケースも見られる原価計算方式のあり方、健康・医療戦略に明記された薬価制度でのイノベーションの適切な評価なども検討課題とした。
これら課題を議論することについては了承されたが、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「新薬創出等加算や長期収載品の引き下げなど、前回の薬価制度改革で見直された項目についても検討が必要」と指摘した。
支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、著しく高額な再生医療等製品の薬価のあり方について「類似薬効比較方式と原価計算方式のどちらで算定することが適当かも含め、既存の算定ルールで対応可能か、新ルールが必要か検討すべき」との考えを示した。
原価計算方式のあり方については、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が製造業の平均利益率約4%の倍以上の営業利益率が薬価に上乗せされている現状を問題視し、議論の対象にするよう求めた。
■制度見直しは尚早-費用対評価部会
また、費用対効果評価専門部会も21日、費用対効果評価制度の見直しに向けた議論の進め方を決めたほか、新たな部会長として荒井耕委員(一橋大学大学院経営管理研究科教授)を選任した。
費用対効果評価制度は、16の対象品目のうち、慢性閉塞性肺疾患治療薬「テリルジー100エリプタ」、白血病治療薬「キムリア」、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ユルトミリス」の3品目では費用対効果評価が決まっており、テリルジーとキムリアについては薬価を引き下げる価格調整が行われた。
これまでの議論から、費用対効果評価を保険償還の可否の判断にまで活用を広げることや、対象品目の選定基準、価格調整の対象範囲などが検討課題とされている。
ただ、この日の部会で診療側、支払側の両側委員は「費用対効果評価の対象品目は限定的であり、データを積み重ねている段階」との認識で一致。制度の大幅な見直しを行うのは時期尚早との意見が出た。
一部委員からは、保険収載から価格調整まで最大で1年半かかる評価期間の短縮や、年間10品目程度とされている評価対象品目の拡充について議論が必要との声も上がった。