大阪府は16日に開いた薬事審議会で、地域連携薬局の審査基準について議論し、厚生労働省令で示された「過去1年間で月平均2回以上」の在宅医療の実績を要件の一つとする方針を決めた。知事の裁量で要件緩和も可能だが、府内の約3割の薬局が同要件を達成しており、中学校区に1薬局以上とする厚労省の基準を十分に満たすとして、要件緩和を見送った。6月頃に審査基準を確定させ、7月中旬から審査受付を開始する計画だ。
地域連携薬局の審査基準は、法令や通知などに基づき都道府県ごとに制定される。認定には、高い能力を持つ薬剤師の配置や、他の医療提供施設との連携体制など様々な要件を満たす必要があるが、要件の一つである在宅医療の実績については、都道府県知事の裁量で緩和可能とされている。
府は、この日の薬事委員会で、「過去1年間で月平均2回以上」の要件を緩和しない方針を決めた。府内に存在する4248軒の薬局のうち、要件を満たすのは1418軒で全体の33.4%に達する。府内の中学校区数は452で、その数倍に当たる薬局が要件を満たすことから、法令で定める要件通りの基準とする考えを固めた。
乾英夫委員(大阪府薬剤師会会長)は「この要件は緩和する必要はないと考えている。地域によって在宅医療への薬局の関わりがばらついていることは確かだが、月平均2回という要件となると全く問題はないのではないか」と語った。
一方、山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「2回以上という要件では、2回だけの薬局と、数多く取り組んでいる薬局の間で幅がある。しっかり取り組んでいる薬局を認めるため、ハードルはもう少し高い方がいいのではないか」と述べ、要件を厳格化するよう提案した。府薬務課は「減らす方向は認められているが、ハードルを高めることは認められていない」として理解を求めた。
府は、今回審議した在宅医療の実績も含め、基本的には法令や通知に沿って地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の審査基準を策定する。8月の認定制度開始に向けて、6月には審査基準を確定させて関係者へ周知。7月中旬から審査受付を開始する計画だ。審査基準を説明した「申請の手引き」も作成する予定。