大阪府薬剤師会は12日に開いた記者会見で、大阪府下の約8割以上の地域で、高齢者を対象にした新型コロナウイルス感染症ワクチンの集団接種に薬剤師が関わるとの見通しを示した。府では、5月上旬の連休明けから高齢者対象の集団接種が本格化する見込み。今後、各地域の薬剤師会に行政や医師会を通じて正式依頼が届く予定だ。
集団接種会場での薬剤師の関与について、府薬の道明雅代副会長は「3月末に実施した各支部へのアンケート調査によると、府下45地域から『地域の行政や医師会から協力の依頼があった』との回答があり、『今のところまだ依頼はない』と回答したのは11地域だった」と報告。少なくとも8割の地域で薬剤師が何らかの形で集団接種に関わるとの見通しを示した。
集団接種会場で薬剤師が担う役割は現時点で明確になっていないが、道明氏は「ワクチン薬液の希釈や充填への関わりが多いのではないか」との見方を示し、地域ごとに医師や看護師のマンパワーに違いがあるため、地域によっては診察前の予診票事前確認や投与後の経過観察にも薬剤師が関わる可能性があるとした。
ワクチン接種の本格化に向けて府薬は、各会員薬局に掲示してもらうポスターを作成した。ワクチン接種を受ける住民に向けて、接種時には予診票と共に、お薬手帳を持参するよう求めるもの。抗凝固薬など服用薬によってワクチン接種後の経過観察時間が長くなる場合もあるため、事前にかかりつけ薬局に相談するよう呼びかけている。
一方、乾英夫会長は、OTC薬販売に店舗の営業時間の2分の1以上、薬剤師か登録販売者の在籍を必要とする2分の1ルールの廃止について「撤廃には反対」と強調。「一般用医薬品であっても医薬品。安全性が担保されているとはいえ、使い方を間違えれば大きな事故につながる。医療用医薬品との併用にも十分注意しなければならない」と理由を述べた。
その上で、「相談したくても専門家がいないということにならないよう国は対策を講じるべき」と訴えた。