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線香の煙で気道上皮バリア機能低下、ぜんそく悪化の可能性-九大

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2021年04月07日 AM09:45

線香煙の吸入が、肺や気道の機能に及ぼす影響を分子生物学的に解析

九州大学は4月1日、線香の煙を吸入すると気道が収縮しやすくなり、気道を覆う上皮のバリア機能が低下することで、ぜんそくを悪化させる可能性があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院呼吸器内科学分野の松元幸一郎准教授、同大学病院の神尾敬子医員、山本宜男医員らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

線香はアジアや中東の多くの国で、宗教的行事や香りを楽しむものとして慣習的に使用されている。線香を燃やすと多くの有害物質が発生し、たばこの燃焼時よりも高濃度のPM2.5が室内に長時間浮遊することが知られている。また最近の臨床研究で、線香を日常的に使用する家庭の子供は、使用しない家庭と比べてぜんそくのリスクが高く、肺機能も低下しやすくなることが報告されている。しかし、線香煙の吸入が、肺や気道の機能にどのように影響するのかは不明だった。

線香煙吸入マウスは気道過敏性亢進、タイトジャンクションタンパク質の発現低下

今回、研究グループは、マウスに線香煙を吸入させると、気道が収縮しぜんそくをおこしやすくなる、すなわち、気道過敏性が亢進し、肺のタイトジャンクションタンパク質の発現が低下することを明らかにした。さらに、線香煙は気道を覆う上皮細胞のバリア機能を低下させることも確認された。

タイトジャンクションタンパク質は、細胞同士を密に結合させ気道上皮のバリア機能を保っており、炎症の原因となる吸入抗原が体内へ侵入することを防いでいる。これらの線香煙によるマウスの肺や気道への有害な作用は、線香煙吸入後に発生する酸化ストレスによるものであり、研究グループは、「抗酸化剤を使用することで症状を改善することができる」と、述べている。

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