厚生労働省が公表した2020年4月から11月までの電子レセプトを用いた調剤医療費の動向では、10月に前年同月比でプラスに回復したものの、11月に再びマイナスに転じていたことが分かった。新型コロナウイルス感染症の影響で、11月の医療費がいずれの診療種類でもマイナスとなり、調剤医療費も影響を大きく受けた格好だ。
調剤医療費(電算処理分)は、緊急事態宣言が発令された2020年4~5月が前年同月比でマイナスとなったが、6月に0.1%増と一旦持ち直した。その後、7~9月がマイナスとなり、10月に1.1%増と回復したが、11月は5.6%減と再び悪化した。10月は技術料が0.1%増、薬剤料が1.0%増となった一方、11月は2.2%減、3.4%減と落ち込んだ。
薬剤料の伸び率を分析したところ、処方箋枚数の伸び率は4~11月の全てで前年同月比マイナスで推移し、特に11月は12%減と減少幅が大きかった。
一方で、処方箋1枚当たりの薬剤料は全ての月においてプラスで推移し、11月は8.3%増となった。
薬効分類別で見ると、多くの薬効分類で減少しており、呼吸器官用薬、抗生物質製剤、化学療法剤は全ての月で二桁の落ち込みとなるなど減少幅が大きかったのに対し、腫瘍用薬やその他の代謝性医薬品などは増加していた。処方箋1枚当たり薬剤料の伸び率では、呼吸器官用薬、抗生物質製剤などは減少しているものの、全体的には増加傾向が見られた。
保険薬局のレセプト件数では、4~5月に大幅な減少が見られた後、6月以降は下げ幅に回復が見られたが、前年同月比を下回る状況が続いている。