厚生労働省は、患者が加入している公的医療保険の資格を確認でき、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする「オンライン資格確認等システム」の本格運用開始時期を当初の3月末から長ければ半年程度延期する。26日の社会保障審議会医療保険部会で了承された。3月初めから動作確認を目的としたプレ運用を開始していたが、医療機関・薬局の導入準備が進まず、システムの不具合も確認されたため。遅くとも薬剤情報の閲覧開始を予定している10月までに本格運用を開始したい考えだ。
オンライン資格確認等システムは、医療機関・薬局でのカードリーダー申し込み数が約10万3000機関と約45%を占め、薬局では4万軒と約67%が申し込みを行っている。
ただ、4日から始まったプレ運用では目標の500機関に対し、22日時点では54機関の参加にとどまる。新型コロナウイルスの影響などによるシステム改修の遅れや世界的な半導体不足によるパソコン調達の遅れ、一部カードリーダー企業の生産遅れなどが原因となっている。
さらに、保険者が管理・登録している加入者データの正確性にも問題が判明した。保険者が登録した個人番号の誤りが約3万件確認されるなど、準備していたシステム対応では不十分であることが分かった。
今後、医療機関や保険者における現状と課題を踏まえ、オンライン資格確認については、システムの安定性確保やデータの正確性担保の観点でプレ運用を継続した上で10月までに本格運用を開始する。500機関でのプレ運用を予定していたが、顔認証付きカードリーダーを申し込んだ全ての医療機関・薬局がプレ運用に参加できるようにする。
システム対応では、顔認証個人番号の誤りが生じないよう個人番号の誤入力をシステム的にチェックする機能を導入し、実際の運用を通じてデータを検証していく方針。