同制度は、市場規模が大きいか著しく単価が高い医薬品・医療機器を評価対象とし、保険償還の可否判断ではなく、一旦保険収載した上で価格調整に用いるとされている。今回、評価対象となっている14品目のうち、テリルジーとキムリアの総合的評価を示した。
テリルジーはCOPDの適応症のみを評価対象とし、前治療歴などで患者集団を12のサブグループに分け、「症状の増悪」を効果指標に、既存の比較対照品目と比べ費用や効果がどれだけ増加するか分析した。その結果、費用対効果が高かったのは7グループ、費用が増加したのが3グループ、分析不能が2グループとバラツキが見られた。
前治療として、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)/長時間作用型β2刺激薬(LABA)/吸入ステロイド薬(ICS)の3剤併用療法を行った後にテリルジーが投与された患者は、3剤療法を継続した場合に比べ、効果が同等で費用削減が見られた。
LAMA/LABAの2剤療法、LAMA単剤の前治療後にテリルジーが投与された好酸球数100/μL以上の患者は、LAMA/LABAの2剤療法を継続した場合に比べ効果が増加すると共に、費用が削減。患者割合が最も多いICS/LABA併用療法の前治療後にテリルジーを投与した患者は、2剤療法を継続した場合に比べ、健康な状態で1年の生存延長に必要な費用を表すICERの値が「200万円/QALY未満」と高い費用対効果が示された。
一方、ICS/LABAの2剤療法後にテリルジーを投与した患者は、ICS/LABAの2剤療法と効果は同等だったが、費用増加となった。分析対象集団ごとに価格を算出し、患者割合に応じ加重平均して算出したものを価格調整後の価格とする方針。
キムリアについては、再発・難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の対象疾患では一定の費用対効果が得られた。再発・難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、B-ALLに比べてICERの値が高かった。