薬剤師による対面販売が義務づけられている「要指導医薬品」をめぐり、インターネット販売大手の楽天が国に対面販売規制の撤廃を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は18日、規制を合憲とし、1審、2審に続き楽天の上告を棄却した。これにより、楽天の敗訴が確定した。
要指導医薬品は、医療用から一般用に転用したスイッチOTC医薬品。医薬品医療機器等法に基づき原則3年間は一般用医薬品として販売することの可否を行うため、インターネットでの販売は行えない。
最高裁は、要指導医薬品の対面販売を原則とする規制について、職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反しているとする楽天の主張に対し、「規制措置の具体的内容や必要性と合理性については、公共の福祉に合致すると認められる以上、立法政策上の問題としてこれを尊重すべきもの」と指摘。
その上で、安全性の評価が確立していない要指導医薬品について、薬機法で薬剤師による対面販売を義務づけることは「公共の福祉に合致することは明らか」とした。
電話やメールなど対面以外の方法による情報提供や指導については、「音声や文面等によるやり取りにならざるを得ないなど、直接の対面に劣るという評価が不合理と言えない」とした。
また、一般用医薬品約1万品目のうち要指導医薬品は約20品目で、市場規模全体の1%にも満たないわずかな程度にとどまっており、「薬剤師の対面販売規制は職業選択の自由に規制を加えるものであるとは言えず、制限の程度が大きいということもできない」と判断。楽天の上告を退けた。
楽天の三木谷浩史社長が代表理事を務める新経済連盟は、「今回、原告側の訴えが認められなかった判決結果が出たことについては大変遺憾」との声明を発表。「要指導医薬品もコロナ特例として緊急対応すると共に、一刻も早く薬機法改正により対面原則を撤廃することを改めて強く要望する」とした。