■日医調査
高齢者接種に関する新型コロナウイルス感染症ワクチンの供給体制が決まっていない市区町村が6割超に達することが、日本医師会の調査で明らかになった。集団接種、個別接種、集団接種・個別接種の組み合わせのいずれかで接種方法を決定している市区町村は約8割に上る一方、医薬品卸や運送業者などワクチンの供給体制については調整できていない状況だ。地域の医師会からはワクチン接種を行うに当たり、情報が少ないことや供給量や供給日程が見えずスケジュールが立てられないとの悲鳴も上がっている。
調査は12日から819群市区医師会を対象にメール配信・FAXで調査票を配信し、17日時点で309郡市区医師会から回答を得た。
ワクチンの供給について市区町村と直接調整している医師会は53.2%と半数強に上り、「都道府県医師会での取りまとめ」は6.8%、「市区町村単独で取りまとめ」が20.5%となった一方、「関与していないので分からない」が12.8%となった。
高齢者接種に関するワクチンの接種方法を聞いたところ、「集団接種」が9.2%、「個別接種」が6.1%、「個別接種と集団接種の組み合わせ」が62.3%となった。
ワクチン配送などの供給体制では、「医薬品卸」が8.8%、「運送業者」が16.8%と回答した。供給体制を「未定」とした市区町村は61%に達していた。接種方法・供給体制を含め「全体的に決まっていない」は8%となった。
一方、医療従事者接種について、基本型接種施設から連携型・サテライト型への供給体制を聞いたところでは、「医薬品卸」が10.7%、「運送業者」が20.3%、「決まっていない」が28.9%、「不明」が18.7%、医薬品卸で交渉中か検査会社による配送など「その他」が21.4%となった。
要望や解決すべき課題については「ワクチンに関する情報が少ない」「情報の統一性がなくて対応に苦慮している」「報道やニュースが先行して住民等から問い合わせがあっても現場として回答できない」などが挙がった。
そのほか、「ワクチン供給日程や供給量が分からないため、スケジュールが立てられない」「医療従事者向け接種の前に高齢者施設への接種が始まることで現場が混乱する」との指摘もあった。