厚生科学審議会臨床研究部会は17日、臨床研究法制定時の附帯決議の一つである「臨床研究の結果を薬事申請に利活用する仕組み」について議論。安全性を考慮し、最低限の要件を設けるべきなどの意見が上がった。
現行の薬事申請制度では、臨床試験成績として治験結果を提出するよう求めているが、2017年の臨床研究法制定時の附帯決議の一つに、医薬品等の開発を促すため、臨床研究で得られた情報を申請時に提出する資料として利活用できるよう検討を求めている。
この日の部会で厚労省は、臨床研究で得られる結果について、薬事申請に利活用を前提とする場合は「治験として行うことを原則」としつつ、改めて治験を行うことが難しい場合は、治験と同程度の信頼性が確保された臨床研究結果を利活用すべきとした。データの信頼性確保など、最低限必要となる要件を設ける必要もあるとした。
これら検討事項について、渡辺弘司委員(日本医師会常任理事)は、「適応外薬を使わざるを得なかった経験があるので、薬事申請にかかる負担がもっと軽減されれば良い」と評価した一方、「申請しやすくするだけでなく、安全性を確保するために最低限の要件や項目を設けるべき」との考えも示した。
これに対して、厚労省は「一定条件を満たしたものが申請に用いることができる」と応じ、具体的な要件を検討した上で、部会で公表する考えを示した。
藤原康弘委員(医薬品医療機器総合機構理事長)は抗癌剤を例に挙げ、「再審査期間が終了し、開発してもメーカーが利益を得られないと判断した場合に、効能追加を行わないことが一番の問題」と指摘。
「患者数が少ないだけで治験の実施が困難なわけではないことを明記しないと、臨床研究の成果を使用する対象が希少疾患に限定されてしまう」と懸念を示した。