医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > ラナデルマブ、遺伝性血管性浮腫の発作抑制薬として製造販売承認申請-武田薬品

ラナデルマブ、遺伝性血管性浮腫の発作抑制薬として製造販売承認申請-武田薬品

読了時間:約 1分24秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年03月16日 AM11:45

完全ヒト型抗ヒト血漿カリクレインモノクローナル抗体

武田薬品工業株式会社は3月12日、)発作を抑制する完全ヒト型抗ヒト血漿カリクレインモノクローナル抗体であるラナデルマブ(一般名)について、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったと発表した。

HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患。 HAEは世界中で5万人に1人が罹患していると推定されている。日本には2,000~3,000人の患者が存在すると推定されているが、この疾患に対する日本での認知度の低さから、診断されている患者は約450人に留まっている。

ラナデルマブは、血漿カリクレインに特異的に結合し、その濃度を引き下げる完全にヒト由来のモノクローナル抗体であり、承認されている海外では12歳以上の患者のHAE発作予防を適応とする。ラナデルマブは皮下注射薬であり、半減期は約2週間 。ラナデルマブは、医療専門家によるトレーニングを受けたうえで、患者自身または介護者による投与も可能とされている。2018年に12歳以上のHAE患者の発作予防薬として米国で初の承認を取得し、現在では20を超える国で製品名「(R)」として販売されているとともに、世界各国で承認申請が進められている。

3つの臨床試験の成績に基づき申請

日本での製造販売承認申請は、主にグローバル臨床第3相試験であるHELP(Hereditary Angioedema Long-term Prophylaxis)試験(TM)、臨床第3相HELP Open-label Extension(OLE)試験、および、日本人患者でのラナデルマブの有効性と安全性を検証する臨床第3相試験の中間結果等に基づいて行われたもの。これらの試験において、ラナデルマブはHAE発作の予防的治療薬として有効性と安全性を示した。

125人のHAE患者が参加したHELP試験は、HAEに関してこれまで行われたものとして最大規模の無作為化対照比較予防的試験。同試験において、HAE発作の1か月あたり平均発生回数は、プラセボ群と比較してラナデルマブ 300mgを2週間に1回投与群で87%低下し、 300mgを4週間に1回投与群で73%低下した(調整後p<0.001)。事前に規定された探索的解析において、26週間(第0〜182日)の試験期間全体を通じて無発作状態を継続した患者の割合は、ラナデルマブ 300mgを2週間に1回投与群では44%(n=12/27)であったのに対し、プラセボ群では2%(n=1/41)だった。また、事後感度分析によれば、安定期間(第70〜182日)中において無発作状態を継続した患者の割合は、ラナデルマブ 300mgの2週間に1回投与群で77%(n=20/26)であったのに対し、プラセボ群では3%(n=1/37)だった。

ラナデルマブ投与群全体(n=84)で発現した有害事象(HAE発作を除く)のうち、治療期間全体を通じて最も一般的だったものは注射部位疼痛(42.9%)、ウイルス性上気道感染(23.8%)、頭痛(20.2%)、注射部位紅斑(9.5%)、注射部位挫傷(7.1%)、および浮動性めまい(6.0%)だった。治験薬投与下で発現した有害事象の重症度は、ほとんど(98.5%)の場合で軽度または中等度だった。

承認後、プレフィルドシリンジとして日本で供給予定

承認された場合、ラナデルマブはプレフィルドシリンジ(充填済み注射器)として日本の患者に供給される予定となっている。同社日本開発センターの廣田直美所長は、「ラナデルマブは血漿カリクレインに特異的に結合し、その濃度を引き下げる完全にヒト由来のモノクローナル抗体であり、HAE発作の予防的治療薬として有効性と安全性を示している。予測のできないHAE発作により日々困難な生活を強いられている日本の患者に、HAE発作の予防的治療薬であるラナデルマブを新しい治療選択肢として、少しでも早く届けられる日を心待ちにしている」と、述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 2025年1月より社長交代で新たな体制へ‐アレクシオンファーマ
  • ミリキズマブの炎症性腸疾患に対する長期持続的有効・安全性データを公開-リリー
  • 転移性尿路上皮がん、一次治療における新たな選択肢への期待
  • 心臓ロボット手術用の部位を見やすく展開するプレートを開発-大阪公立大
  • 新たにオンコロジー領域に注力し「2031年までに年平均成長率8%を目指す」‐GSK