三重県薬務感染症対策課は12日、伊賀薬剤師会が運営する会営薬局「上野センター薬局」に対し、医師の処方箋なく処方箋医薬品を従業員に販売したほか、薬剤師でない事務員に軟膏の練合など調剤を行わせていたなどとして、医薬品医療機器等法違反で管理者変更、業務体制整備や運営改善を命じる行政処分を行ったと発表した。
県薬務感染症対策課などによると、昨年11月に管轄する伊賀保健所が情報提供を受け、立入検査を行った結果、事実関係が発覚したという。
同薬局では、処方箋の交付を受けずに、薬剤師4人や事務員に対して処方箋医薬品13品目を17件販売。このうち、消炎鎮痛剤などの劇薬を4品目6件販売していた。
また、従業員への聞き取りで2019~20年の過去2年間に、事務員による軟膏の練合など無資格調剤を数回程度行ったことを確認した。
県は、薬剤師以外の者が調剤した医薬品による健康被害がないことの確認や薬事に関する法令遵守を確保するための体制整備を含めた是正措置、再発防止策を講じ業務の運営改善を行うこと、その改善計画書を29日までに作成、提出することを求めた。
行政処分に対して、伊賀薬剤師会は、廣田育史会長名で「患者や関係者に多大な迷惑をかけたことをお詫びする」と謝罪する文書を発表した。
その上で、薬局医薬品の職員への販売禁止、職員に対する法令遵守の徹底、薬局内監査体制の整備などの再発防止、改善策に取り組む意向を示した。
廣田会長は、本紙の取材に「行政処分を厳粛、真摯に受け止め、法令遵守のための研修会を実施するなど信頼回復に努めたい」と話した。