大日本住友製薬は5日、抗癌剤「ナパブカシン」で実施中の臨床試験を全て中止すると発表した。結腸直腸癌を対象とした第III相試験で主要評価項目が未達となったことを受けて決断した。成長戦略の一つに掲げる癌領域事業の計画に影響すると見られる。
結腸直腸癌を対象にした第III相試験を中止するほか、固形癌、肝細胞癌、消化器癌などを対象に進めている第I相、第II相試験を全て中止する。これまでも、膵癌、胃癌、難治性結腸直腸癌を対象に臨床開発を進めてきたが、いずれも中止し、実用化には至っていない。
今回の開発中止の決定に伴い、同剤にかかる仕掛研究開発費を全額減損し、減損損失269億円を計上する。
大日本住友は、癌領域を事業の柱の一つに育成する方針を掲げている。主力品の一つとしてナパブカシンの開発を進め、膵癌と結腸直腸癌でそれぞれピーク時1000億円規模の売上を見込んでいたが、計画倒れに終わった。
癌領域ではこのほか、急性骨髄性白血病などを対象に開発中のアルボシジブや固形癌を対象に開発中のTP-0903の事業性を見直すなど、計画通りには進んでいない。