膵臓がん肝臓転移マウスを用いて、ゲムシタビンと抗PD-1抗体の併用の効果を調査
金沢大学は2月18日、膵臓がん肝転移マウスモデルを用いて、膵臓がん治療におけるゲムシタビンと抗PD-1抗体の化学療法、免疫療法の併用の有効性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大医薬保健研究域医学系の酒井佳夫准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、国際学術誌「Journal for Immunotherapy of Cancer」のオンライン版に掲載されている。
画像はリリースより
膵臓がんは、日本で毎年4万人以上が罹患するとされている。膵臓は臓器の中でも最も背側に存在しているため、他の部位のがんと比べて早期の発見が難しい。そのため、治療を受けても5年後に生存している割合は10%程度という調査結果もあり、予後の悪い悪性腫瘍の1つであると言われている。
今回の研究では、膵臓がんの効果的な治療法の確立を目的として、膵臓がんが肝臓に転移したマウスを用いて、抗がん剤のゲムシタビンと抗PD-1抗体の併用の効果を調査した。
Th1リンパ球とM1マクロファージ浸潤を促進、マウス生存期間を延長
その結果、併用によって、Th1リンパ球とM1マクロファージの浸潤が促進され、マウスの生存期間の延長が確認された。
同研究成果は、ゲムシタビンと抗PD-1抗体を併用した化学療法が肝転移のある膵臓がんの治療に有効である可能性を示唆しているもの。
今後は、治療の有効性に寄与している因子などの研究をより推進し、将来的には、生体の免疫能力をさらに活用した化学療法や放射線療法などの集学的な治療法の開発につながることが期待される、と研究グループは述べている。
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