■妊婦に努力義務課さず
厚生労働省は15日、新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種実施案を厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会に示し、了承された。国民ができるだけ速やかに臨時接種を行えるようにするため、実施期間については接種開始日から概ね1年間とすることとした。同一ワクチンの接種間隔は18日以上の間隔を置いて2回目の接種を行うとしたほか、慎重な投与が求められる妊婦に対しては、接種の努力義務を課さない。分科会での了承を受け、厚生労働相が市町村首長にワクチン接種開始を指示し、医療従事者向けの先行接種を始める方針。
ファイザーの新型コロナウイルス感染症ワクチン「コミナティ筋注」の特例承認を受け、この日の分科会では接種を開始するための重要事項を審議した。
コミナティの保存可能期間は、超低温下で製造から6カ月と見込まれている。年内に供給されたワクチンは製造・供給日によるものの、2022年の早い時期になっても使用可能なものがあるため、厚労省はなるべく早く接種する必要性とのバランスから、実施期間を接種開始日から概ね1年間とした。
一部の委員からは「接種開始時期が遅い一般の人たちを考えると、1年で区切らず猶予期間が必要ではないか」との指摘が出たのに対し、厚労省は「接種が十分進まないという事情があった場合には、必ず1年で区切るということではない」と説明。状況に応じて期間延長の判断を検討する可能性も示した。
接種間隔については、3週間の間隔を空けて2回目の接種を行うと添付文書に記載されているが、急な発熱があった場合にちょうど21日後に接種できないことも考えられるため、「18日以上の間隔を空けること」とした。
異なるワクチンとの接種間隔については、海外の事例から「同時接種を行わず、接種間隔は13日以上の間隔を置くこと」と規定した。
接種対象者全員に接種を勧奨する一方で、慎重な投与が求められている妊婦には接種の努力義務を適用しない。
また、アナフィラキシー発生時に対応するための接種後待機時間については、基本的には15分の経過観察を行う。ただ、過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こした人、採血などで気分が悪くなり、失神を起こした人には30分間の経過観察を行う必要があるとした。