厚生労働省は14日、米ファイザーの新型コロナウイルス感染症ワクチン「コミナティ筋注」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン〈SARS-CoV-2〉)の製造販売を特例承認した。国内初の新型コロナウイルス感染症ワクチンで、日本人での有効性が海外と同等以上と判断された。17日から医療関係者を対象に接種開始する。
同ワクチンの効能・効果は、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による感染症の予防。ただ、予防効果の持続期間は確立していない。
用法・用量は、生理食塩液1.8mLで希釈し、1回0.3mLを計2回、3週間間隔で筋肉内に接種する。1回目の接種から3週間を超えた場合、可能な限り速やかに2回目の接種を行うよう求めている。
接種対象者は16歳以上で、妊婦、妊娠している可能性のある人については、接種の有益性が危険性を上回ると判断された場合に限り接種可能とした。
重大な副反応として、ショック、アナフィラキシーが発現する可能性があるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後は一定時間状態を観察することが望ましいとした。
アナフィラキシーなどが確認された場合、2回目の接種はしない。副反応として疼痛、頭痛、筋肉痛、疲労、関節痛なども確認されている。
臨床成績では、20~85歳の日本人156人を対象とした国内第I/II相試験でプラセボ対照試験を実施し、2回目接種後1カ月の血清中和抗体価について、全年齢における接種群の抗体価上昇倍率は51.5とプラセボ接種群の1.1を上回った。
現時点での知見が限定的であるため、承認条件として、製造販売後に副作用情報等、安全性に関するデータを早期に収集して医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出することなどを求めた。
同ワクチンの特例承認を受け、菅義偉首相は15日の衆議院予算委員会で、17日から医療関係者への接種を開始する方針を示した。
菅氏は、ワクチン接種について「一大プロジェクトであり、政府一体で準備に取り組んでいる。一日も早く国民に有効で安全なワクチンを届けられるよう、引き続き全力で取り組みたい」とした。