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新型コロナ感染で獲得された抗体は3~6か月間維持-東大医科研ほか

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2021年02月16日 AM10:30

抗体は短期に消失し、再感染が容易に起こるのではないかという懸念

東京大学医科学研究所は2月12日、新型コロナウイルスに感染し発症した患者におけるウイルスに対する抗体応答の解析を行い、ウイルス感染により誘導された抗体が発症後少なくとも3~6か月間維持されることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野の河岡義裕教授ら、、藤沢市民病院、済生会中央病院、済生会宇都宮病院、永寿総合病院、けいゆう病院、、米国ウィスコンシン大学の研究グループによるもの。研究結果は「EClinicalMedicine」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

)は、2019年12月にヒトでの感染が初めて報告された後、世界中に拡散し流行した。2020年3月11日、WHOがパンデミックを宣言した後も、新型コロナウイルス感染症()は世界的に流行し続けており、収束の気配はいまだない。SARS-CoV-2のヒトでの感染が報告された直後には、SARS-CoV-2に感染した際の抗体応答についての知見はなかった。パンデミック初期の研究では、COVID-19患者でSARS-CoV-2に対する抗体が誘導されるものの、ウイルスに対する抗体は1か月程度で検出限界以下に低下する可能性が示唆されていた。そのため、一度SARS-CoV-2に感染しても、再感染が容易に起こるのではないかという懸念があった。

検出限界以下になることなく発症後約3~6か月間維持

研究グループは、39人のCOVID-19患者から経時的に採血し、その血中に含まれる抗体量を発症から3~6か月にわたり計測し、抗体量の変動を調査した。抗体量の測定方法は、SARS-CoV-2のSタンパク質のレセプター結合領域、Sタンパク質の細胞外領域、またはNタンパク質を抗原タンパク質として用いたELISA、および中和試験を用いた。

39人の抗体応答の解析の結果、Sタンパク質の細胞外領域に対する抗体応答が最も早く惹起され、その後Sタンパク質のレセプター結合領域やNタンパク質に対する抗体および中和活性を持つ抗体が誘導されることが明らかになった。また、誘導された各種抗体の量は、発症20日目くらいをピークとし、その後減少していた。しかし、その減少速度は次第に穏やかになるため、抗体がすぐに検出限界以下になることはなく、発症後約3~6か月間は維持されることがわかった。

これまで、抗体がすぐに消失するという結果や、長期にわたって持続するという結果など、異なる結果が報告されている。この違いは、用いた検査の抗体検出感度に起因すると考えられる。抗体がすぐに消失するという結果は、検出感度が低いため、実際には抗体が持続しているにもかかわらず、抗体があたかもすぐに消失するかのごとくみえてしまったものと考えられるという。

最高抗体価は重症患者>軽症患者、発症60日以降にその差が縮小

次に、39人を軽症、中等症、重症の3グループに分けて抗体応答を比較した。各患者の最高抗体価を各グループで平均して比較したところ、重症グループの平均値は軽症グループの平均値よりも高いことが明らかになった。しかし、発症60日以降における抗体価の平均値を3つのグループ間で比較したところ、重症グループの抗体価の減少が軽症グループの減少よりも著しかったため、重症グループと軽症グループ間における抗体価の差が縮小していた。

研究により、SARS-CoV-2に感染した場合に誘導される抗体が短期に消失することなく、半年程度にわたり維持されることが明らかになった。今回のような抗体応答の挙動は、一般的な急性感染症の初めての感染時にみられる抗体応答と同様であると考えられるという。一方、SARS-CoV-2への再感染例も少数報告されている。「今回の研究においても弱い抗体応答しか認められない症例が確認されていることから、初感染により誘導された抗体価が低かった可能性が考えられた。今後、充分な抗体が誘導されない危険因子についてさらなる検証が必要である」と、研究グループは述べている。

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