神戸市は、優先接種対象の65歳以上の高齢者約43万人への1回目のワクチン接種について、4~6月の約3カ月間で終えることを目指して体制を構築する。市内約800施設の医療機関でワクチン接種を受け付けるほか、集団接種会場を市内計九つの各区に1カ所程度設ける予定で、より多くの高齢者が接種を受けられるようにする。
各区の区役所には、超低温冷凍庫を設置してワクチンを保管する。各区役所を供給拠点として、医療機関や集団接種会場にワクチンを配送する計画だ。
使用するファイザー製ワクチンはマイナス75℃前後で保管する必要がある。解凍して使用するが、冷蔵庫で解凍した場合は5日間の保管が可能で、室温での解凍時はすぐに使い切らなければならない。
投与時には、バイアルに生理食塩水を注入して希釈し、シリンジに1人分ずつ吸引して使用する。希釈後は6時間以内の投与が必要となる。
投与後の副反応観察も含め注意すべき点は多く、医薬品管理や調製のノウハウを持つ薬剤師が職能を発揮できる場面は少なくない。
神戸市薬は、毎日開かれる予定の集団接種会場に会員の薬剤師を1人ずつ派遣するなど様々な関わり方を想定しているが、実際に薬剤師がどう関わるか現時点では決まっていない。
今後、連携本部に名を連ねる4者間で具体的なワクチン接種体制の議論を進める中で、薬剤師の役割が固まる。今月末までに大枠が決まる見通しで、4月の本番に向けて3月上旬には接種のシミュレーションを実施する計画だ。
神戸市薬は、以前から市内5カ所の急病診療所へ薬剤師を派遣して業務を担当するなど、行政や他の医療職種と深い関係を築いてきた。今回、こうした実績をもとに、神戸市から要請を受けて連携本部の一員に加わった。
神戸市薬副会長の桂木聡子氏(兵庫医療大学薬学部教授)は、「薬剤師の顔が見える活動をしたいと考えて、以前から行政や他職種と関わって取り組んできた。今回使用するワクチンは、特に厳格な管理が求められる。医薬品の管理や調製は薬剤師が引き受けることが適任だと思うし、そうすることで医師や看護師はそれぞれの業務に集中できるのではないか」と話している。