第4回調査を実施、心の健康・悩みについて詳細に
国立成育医療研究センター2月10日、2020年11月~12月に実施した「コロナ×子どもアンケート」第4回調査の結果を発表した。この調査は、同センター社会医学研究部・こころの診療部を中心とした研究グループによるもの。なお、第4回調査の報告書全文は、同センター「コロナ×こども本部」のページで公開している。
画像はリリースより
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、子どもたちの生活も大きく変化した。大人と比べて声を挙げることが難しい子どもたちが、今どのような状況に置かれているのか、大人たちは子どもたちのために何ができるのかを明らかにし、現場に届けるとともに、社会に問いかけるために同調査は行われている。
第1回調査では、主に緊急事態宣言中の子どもたちの生活や健康の様子、第2回調査では、学校や保育園が再開されてからの子どもたちの様子や、新型コロナに関する意識(スティグマ)、第3回調査では、第1回から継続して尋ねている心の状態のほか、コロナ前後での生活の変化やストレス対処法、家庭や学校で子ども権利が守られているかなどが明らかになっている。
第4回調査は、2020年11月17日~12月27日に行われた。SNSや協力団体、メディアを通して参加を呼びかけ、全国の子ども924人、保護者3,705人(保護者と子ども両方での回答は553組)計4,629人から回答を得た。調査では、この時期の子どもたちの生活状況、スティグマやいじめ、心の状態、親子のかかわりやトラブル、保護者のこころの状態、給食を含めた食事に関すること、父親の育児に関すること、などを基本属性とあわせて尋ねた。
中等度以上のうつ症状、小学4~6年生15%、中学生24%、高校生30%
その結果、回答した小学4~6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状(PHQ-A日本語版による調査)があることがわかった。また、小学4年生以上の子どもの6%が「ほとんど毎日」自殺や自傷行為について考えた(「死んだ方がいい、または自分を何らかの方法で傷つけようと思った」)と回答した。また、回答した保護者の29%でも中等度以上のうつ症状があることもわかった。
子どものうつは、大人のうつとは違う症状で表れることが多いといわれている。例えば、腹痛などの身体の不調がうつのサインという場合がある。イライラや攻撃性など外に向かうもの、あるいは不登校や引きこもりなど内に向かうものがサインという場合もある。大人も子どもも、嫌なことがあると憂うつな気分になり、上記のような症状が出ることはあるが、うまくやり過ごすうちに自然と気分が晴れるのであれば問題ないと考えられる。しかし、ストレスが強すぎたり本人が弱っていたりすると、その状態が長く続き、心身のエネルギーを消耗してしまう。そうなってしまうと、自力で回復するのが困難で、無理にがんばらせるのは逆効果となるため、周囲が気づいてあげること、早めに専門家へ相談することが重要になるという。
「こころ×子どもメール相談」を3月31日まで実施
同センターでは、2021年3月31日までの期間中の土日・祝日(15:00~22:00)に、18歳までの子どもたちを対象とした「こころ×子どもメール相談」を実施している。相談はメールでのみ受け付け、同センターこころの診療部の医師または心理士などが対応する。
今後の展望として、研究グループは「重大な調査結果は速やかに公開し、現場でのこどもたちへのケアや施策提言に活かしていただけるよう努める」と、述べている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース