自民党の新型コロナウイルス感染症対策本部とワクチン対策プロジェクトチームの合同会議は8日、米ファイザー製ワクチンの接種体制に関して、職場での接種も求める提言を取りまとめた。物流企業だけでなく、ノウハウを持つ医薬品卸売業者による輸送も認めることなども求めており、提言は菅義偉首相に提出する。
提言では、政府に対して可能な限り早く市町村に具体的な供給スケジュールを明示すべきとしたほか、国民の多数が接種できるよう多様な接種ルートを構築するよう求めた。
具体的には、健康保険組合を通じた職域の接種ルートを作り、オフィス内などで接種できるようにすべきとした。
輸送の面では、医療機関に負担をかけることなく正確に小分け、輸送するため、物流企業だけでなく、医薬品流通に精通した医薬品卸売事業者も参加できるようにする必要があるとした。
副反応への対応として、関連審議会を頻繁に開催してタイムリーに副反応を評価することや、国民が理解しやすい情報提供を行うよう求めた。
先行して接種を進めている欧米では、アナフィラキシーも確認されているため、症状を緩和するエピネフリンの準備、接種後15~30分間は医療者による経過観察を行うなどの体制を確保することとした。
市町村の予防接種台帳、マイナンバーを活用した新システム、厚生労働省のワクチン接種円滑化システム(V-SYS)と、これら情報管理システムが無駄なく連携し、接種を担う医療者に不合理な負担が生じないよう考慮すべきとした。
さらに、臨床試験で高い発症予防効果が確認されたこと、欧米で因果関係がある死亡事例は報告されていないことなど、国民に科学的で正しい情報を提供するよう求めた。
合同会議の冒頭であいさつした鴨下一郎PT座長は「しっかりと対応するためにはワクチンを国民に届けることが非常に重要。今回は第1次提言だが、状況が変化した段階で更新したい」との考えを示した。