■第三者チェック必要の声
東京都後発品安心使用協議会は2日の会合で、小林化工の自主回収事案をめぐって後発品の信頼回復に向けた対策を、業界団体の日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)に求めた。都は来年度から2023年度までの後発品使用促進ロードマップを策定中だが、委員からは影響を懸念する意見が相次いだ。再発防止に向け、問題発生時の情報提供体制や製造・品質保証体制を第三者がチェックする仕組みを検討すべきとの指摘も出た。
この日の会合では、GE薬協がオブザーバーとして参加。政策実務委員会の田中俊幸委員長が後発品の自主回収事例や協会の取り組みを説明した。1月に会員会社の総括製造販売責任者を対象とした会議を開催し、承認書通りに医薬品が製造されているか自主的な確認を行うことや、承認書と製造実態の点検方法についても統一化したフォーマットを用いてチェックリストを作るなど協会の対応状況を報告した。
ただ、委員からは、小林化工の対応について批判が集中した。金内幸子委員(東京都病院薬剤師会理事)は、小林化工が製造販売する医薬品の出荷制限によって、後発品代替薬の入手が困難になり、以前の採用薬である先発品を購入した実例を紹介。
「1社の事故の与える影響は大きい。せっかく積み上げてきた後発品の国民への啓蒙がリセットされてしまう。製造工程が管理されず最終チェックを抜けた製品が流通し、健康被害を生じた事実に対して、国民の信頼を回復するための動きが必要」と訴えた。
鳥居明委員(東京都医師会理事)は、「何かあった場合は、医師に先に連絡が届くようにしてほしい」と後発品メーカーの情報提供体制に注文をつけ、「GMPやGQPだけに目を向けるのではなく、リスクコミュニケーションに目を向けるべきではないか」と提言した。
都福祉保健局健康安全部の早乙女芳明薬務課長も「医薬品業界の信頼を覆す問題。今回の問題は信じがたいことで大変遺憾に思う。厳しい対応をお願いしたい」と批判した。
永田泰造委員(東京都薬剤師会会長)は、GE薬協に対して「承認書通りに製造されているか、(都道府県による監査だけではなく)第三者がチェックすべきではないか」と指摘。
その上で「薬剤師としては、どのメーカーが信頼できるか採用薬の選定作業を行わないと先発品に戻ってしまう。GE薬協として推奨できるメーカーがどこであるか出してほしい」と要望した。
これに対して田中氏は、「既に動き出している」と応じ、来年度には何らかの対応策を検討する考えを表明した。業界団体の特性上、具体的な企業を推奨することは難しいため、医療者が後発品を選定する上で安定供給や品質面において分かりやすい判断指標となるものを示す方針。