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【国際医療センター】回復者血漿療法で特定研究-新型コロナ、来月にも開始

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2021年01月29日 AM11:15

国立国際医療研究センターは、早ければ来月から新型コロナウイルス感染症回復者の血漿を用いた輸注療法に対する特定臨床研究を開始する。被験者数は200人を予定しており、新型コロナウイルス感染を強力に阻害する高い中和活性を持つ優良な血漿を選んで輸注し、レムデシビルなど抗ウイルス療法との有効性・安全性の比較を行う。

米国では、新型コロナウイルス感染症入院患者に対する回復者血漿療法の緊急使用が許可されているが、効果は証明されていない。今回の試験で有効性を検討し、患者の治療に役立てたい考え。

回復者血漿は、新型コロナウイルス感染症の回復者から新型コロナウイルスに対する抗体が含まれた血液を採取し、白血球や赤血球などの成分を取り除いた血漿を輸注することで、新規感染者の治療に役立てるもの。これまでウイルス感染と細胞死を強力に抑制すると報告されていたが、効果は不明だった。

こうした中、同センターは、新型コロナウイルスに対する回復者血漿療法を検討するため、都内の数施設で重症化リスクが高い患者200人を対象としたランダム化比較試験を実施する。回復者血漿の輸注療法群100人、レムデシビルやデキサメタゾンなどの既存療法群100人に無作為に割り付け、投与後のウイルス量の変化などを評価する。ワクチン接種を受けた人は対象外としている。

今回の試験で用いる回復者血漿は、新型コロナウイルスに高い中和活性を持つ優良な血漿のみを選んでいる。回復者血漿の新型コロナウイルスに対する中和活性にはバラツキがあり、ほぼ半数は早期に血漿中から消失するとの研究報告もあるという。

同センターは、新型コロナウイルス感染症回復者から血液中の抗体を測定し、抗体が十分にある人に血漿の提供を依頼する研究を実施。これまで420人から血漿の提供を受け、139人から高い中和活性を持つ血漿を確保できた。

同センター研究所の満屋裕明所長は、26日のセミナーで「回復者血漿の輸注による治療には中和抗体活性の有無を検討した上での実施が必須」と述べた。

集めた回復者血漿は、血漿から抗体を濃縮して工業製品にするには早くても1年かかるため、まずは臨床用として新規患者の救命目的で使用する方針。

 

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