厚生労働省の「大麻等の薬物対策のあり方検討会」は20日に初会合を開き、大麻を含めた薬物への対策に関する議論をスタートさせた。委員からは、大麻に関する正しい情報発信の必要性や取り締まりに関する現行法が実態に合っていないことなどを指摘する意見が上がった。検討会では、検挙者数が増加傾向にある大麻を含めた薬物全般に関する法制度、再乱用防止対策を論点に議論を進め、今夏をメドに報告書を取りまとめる予定。
国内の薬物対策をめぐっては、覚醒剤に関する昨年度の検挙人数は8730人で44年ぶりに1万人を下回るなど、近年は下降傾向にある。
一方、大麻の検挙人数は増加傾向にあり、30歳未満が占める割合が半数以上となるなど、若年層への浸透が問題となっている。また、大麻は輸出入、所持、栽培等に対する法定刑は定められているものの、使用に関する規定は設けられていない。
そのため、検討会では、大麻規制のあり方を含めた薬物関連法制のあり方、再乱用防止(依存症)対策など薬物関連施策のあり方と大麻を含めた薬物への対策を議論することにした。
初会合では、大麻等の検挙人数の推移、国際的動向、取り締まりの現状等について意見交換を行った。
委員からは、大麻の有害性について誤った情報が広まる現状に対して、正確な情報を発信するよう求める声や、取り締まりに関しても正しい情報を伝えること、現行の大麻取締法の取り締まり対象である「樹脂」の定義が定められておらず、規制対象が不明瞭な点があるなど、実態に合っていないことを指摘する意見も出た。
厚労省は、今夏に取りまとめ予定の報告書の内容によっては、法令改正が必要との考え。