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RPE不全症、同種iPS細胞由来RPE細胞移植の臨床研究開始-神戸アイセンター病院

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2021年01月22日 PM12:15

」の原因は、遺伝子異常・・炎症などさまざま

神戸市立神戸アイセンター病院は1月20日、「網膜色素上皮(RPE)不全症に対する同種iPS細胞由来RPE細胞懸濁液移植に関する臨床研究」が、同日に開催された厚生科学審議会 再生医療等評価部会にて、了承されたと発表した。この研究は、同病院の栗本康夫院長らの研究グループによるもの。


画像はリリースより

目の中に入ってきた光は、目の奥にある網膜で光から電気の信号に変換され、神経を伝わって脳まで届くことで、視覚として認識される。網膜は眼球内の後ろの方を覆う薄い膜で、何種類かの神経細胞が層状に重なった構造をしている。その一番外側にあり、目の中に入ってきた光を受け取って、脳に伝えるための電気信号に変換する役割を持つのが視細胞、その視細胞のすぐ外側に視細胞を支えるように存在するのがRPE細胞だ。RPE細胞は、視細胞を保護する役目を持つ細胞で、視細胞に栄養を与えたり、老廃物を処理したりして、視細胞を元気に保つ働きがある。ヒトの視覚は、視細胞とRPE細胞が協働することにより維持されている。

RPE不全症は、RPE細胞の遺伝子に異常があったり、近視がとても強かったり、加齢によるストレス、または炎症が起きたりすることでRPE細胞が働かなくなり、さらに、RPEに保護されなくなった視細胞も働かなくなるために目が見えにくくなる、いろいろな種類の病気が含まれている。

滲出型加齢黄斑変性では一定の範囲で安全性確認、患者視力も保たれている

これまで研究グループは、加齢によるRPE細胞の異常が原因で、高齢者に多い目の病気のひとつである「滲出型加齢黄斑変性」の患者を対象に、(人工多能性幹細胞)から作製したRPE細胞(iPS細胞由来RPE細胞)を移植する新しい治療法の安全性の確認を主な目的とした臨床研究を行ってきた。研究グループが行った、自家iPS細胞(患者自身の細胞から作成したiPS細胞)由来RPE細胞と同種iPS細胞(他人の細胞から作成したiPS細胞)由来RPE細胞に関する臨床研究において、腫瘍の発生や、他人の細胞を移植することによる免疫拒絶反応に対する安全性が一定の範囲で確認され、移植を受けた患者の視力も変わらずに保たれていることが示された。

今回の研究では、加齢黄斑変性だけでなく、RPE細胞が変性したり、機能が落ちることで目が見えにくくなるさまざまな病気が含まれる網膜色素上皮(RPE)不全症の患者を対象に移植を行い、効果と安全性を調べていく予定だ。

RPE細胞移植の効果が期待できる病気などを評価

今回の研究では、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)で、免疫拒絶反応を起こしにくいタイプのHLA(ヒト白血球抗原)を持つ人の細胞から作製された同種iPS細胞をRPE細胞に変化させたものを使用する。そして、その細胞を含む液体である細胞懸濁液を患者の目に移植する。対象となるのは、20歳以上の男女で、0.3以下、または視野検査において視野欠損が認められるRPE不全症に含まれる網膜変性疾患と診断されている患者。移植の前に、患者のHLAが移植する細胞のHLAと一致するかを調べる検査を実施するが、HLAが合わない場合でも免疫抑制剤などを投与し、拒絶反応が起きていないかを検査することで、研究に参加することが可能。

目標症例数は50例、移植後の観察期間は4年間。臨床研究の主な目的は、RPE不全症に含まれる病気のうち、どの病気にRPE細胞移植の効果が期待できるかを調べることと、移植の効果を調べるために行う検査について評価すること。また、移植したRPE細胞が患者の眼の中で生着しRPE細胞としての機能を果たすのか、加えて、免疫拒絶反応などの安全性の評価も行う。

実施医療機関(再生医療等提供機関)は神戸市立神戸アイセンター病院。理化学研究所で製造したRPE細胞を用いて、 網膜再生細胞手動調製室(fRRM)において、細胞懸濁液を作る。なお、今回の研究では、移植したRPE細胞が広い範囲で均一に生着しやすくなるように、移植方法の工夫として、細胞と一緒に移植する液体の改良と、手術が終わった直後から3時間、仰向けで安静にする。(QLifePro編集部)

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