厚生労働省は20日、米ファイザーが承認申請中の新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、年内に約1億4400万回分の供給を受ける正式契約を締結した。正式契約を結んだのは米モデルナ、英アストラゼネカに続き3社目となり、基本合意を結んだ企業とは最終合意となった。ファイザーとは今年前半までに1億2000万回分の供給に関する基本合意を結んでいたが、当初の合意に比べて2400万回分を増やした内容。2月下旬の接種開始に間に合うよう急ピッチで承認審査を進めていく。
ファイザーと独バイオNテックは、新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン候補「BNT162b2」を共同開発し、2020年12月に国内で承認申請した。現在、海外の臨床試験データをもとに早期承認を目指す「特例承認」の枠組みで審査が進められている。
ファイザーのmRNAワクチンは2回接種する必要があるため、接種人数分に換算すると約7200万人分となる。田村憲久厚生労働相は、記者団に対し、基本合意を上回るワクチンの供給量で正式契約を結んだことについて、「接種対象の皆さんに、しっかりとワクチンの量を確保しないといけない」と説明した。
政府は今年前半までに全国民分のワクチン供給量を確保する方針を打ち出している。ファイザーと正式契約に至ったことで、モデルナ、アストラゼネカからの供給量を合わせると、合計で3億1400万回接種分(1億5700万人分)に達し、全国民分の供給量を確保したことになる。
田村氏は、「承認が前提となるが、これでいよいよワクチンの供給が始まる」と意義を強調した上で、「(ファイザーには)今年前半までになるべく多くのワクチンを供給することをお願いしたい」と述べた。