日本病院薬剤師会の木平健治会長は15日に開いた記者会見で、小林化工が製造販売する抗真菌剤「イトラコナゾール錠」に睡眠導入剤が混入していた問題に言及。「医薬品全体への信頼性を欠く可能性があり、見逃せない重大な案件」と語った。「われわれは、製薬企業から提供された医薬品を信頼している。その信頼が損なわれることになると、何を頼りに薬物療法の有効性と安全性を担保していくのか、非常に危惧を覚える」と述べ、責任のある行動を取るよう製薬企業に求めた。
木平氏は「今回の事案では、まず品質に大きな欠落があった。われわれは、製薬企業が品質を担保しているという前提で業務をしている。その信頼感を損なうもの」と指摘。他社でも自主回収が相次いでいるとして、品質、安定供給、情報提供という医薬品の使用に必要な3本柱が崩れていることに危機感を表明した。
また、林昌洋副会長(虎の門病院薬剤部)は、「何が問題で、どんな行動を起こすべきかという情報が医療現場にタイムリーに入ってこなかったことがすごくストレスだった」と説明。
「製造販売承認を持つ製薬企業が医療現場に対し、MRやウェブサイト、メールニュース等を介して責任を持って情報を提供すべき。報道等が先行し、製薬企業からの情報提供が遅れることがあった」と語り、情報提供体制の改善を同社に強く申し入れたという。
また、製薬企業間の製造委受託情報が開示されていないことで、「どこまでが影響のない範囲として在庫を確保していいのかが分かりにくかったという会員からの声があった」と語った。
林氏は「製造販売元が責任を果たしてもらわないと、薬事承認の根幹が揺らいでしまう」と言及。「責任ある行動と迅速な情報開示を今後も求めていく必要がある」と強調した。