厚生科学審議会感染症部会は15日、新型コロナウイルス感染症を感染症法の「新型インフルエンザ等感染症」に位置づける案を概ね了承した。指定感染症としての期限後も必要な対策を取るためで、宿泊療養・自宅療養に応じない軽症患者に入院勧告もでき、応じない人には罰則を課す。
罰則の内容は与野党間で調整中で、厚生労働省は速やかに改正法案を準備し、きょう18日に招集される通常国会に提出する考え。
新型コロナウイルスをめぐっては、入院措置や疫学調査など必要な対策を取れるよう来年1月末を期限に指定感染症に位置づけている。
ただ、期限後も必要な措置を取るため、感染症法の新型インフルエンザ等感染症に新型コロナウイルスと再興型コロナウイルス感染症を追加する。建物の立入制限、濃厚接触者による健康状態の報告など、必要な対策が引き続き実施可能となる。
また、重症患者への医療提供体制を確保するため、軽症患者には宿泊療養や自宅療養を行っているものの、法的根拠が不明確で、入院患者が医療機関から逃げ出したり、軽症患者が自治体の要請に応じないなどの事例が報告されている。
そのため、軽症患者の宿泊療養と自宅療養を法制化し、都道府県知事は宿泊療養等の協力に応じない患者に入院勧告ができることを明記。入院措置に従わない人には、罰則を適用する。
罰則について、脇田隆字部会長(国立感染症研究所所長)は「執行には抑制的であるべきで、患者に寄り添うことを続ける必要がある。現場の運用も非常に大変であり配慮すべき」と慎重な運用を求めた。
山田章雄委員(東京大学名誉教授)は「集中すべきは感染経路対策であり、罰則は感染経路対策にはつながらない。慎重に考える必要がある」と述べた。
一方、中野貴司委員(川崎医科大学総合医療センター教授)は「医療機関がしっかりとマネジメントしないと、感染拡大させたり、他人に不利益を起こす患者がいるのも事実。何らかの抑止力を行使すべき」と述べ、菅原えりさ委員(東京医療保健大学大学院教授)も「コロナに無関心な人が必ずいる状況で、感染を広げる要因がある。何らかの抑止力が必要」と賛同した。