厚生労働省は、2019年の「薬事工業生産動態統計年報」を公表した。医薬品の国内生産金額は前年比37.3%増の9兆4860億円、都道府県別の生産金額では埼玉県が前年の6位からトップに浮上した。初調査となる再生医療等製品は55億円だった。今回の調査結果では調査客体を製造販売所のみにするなど調査方法の見直しを行ったため、前年の数値から増減が生じているとしている。
医薬品薬効大分類別生産金額では、トップの「腫瘍用薬」が90%増の1兆1617億円となり、前年の4位から大幅に増加している。生産金額全体に占める構成割合は12.2%と3.3ポイント増加した。2位に「その他の代謝性医薬品」が34.6%増の1兆1554億円、3位に「中枢神経系用薬」が43%増の1兆1226億円と続いた。
都道府県別の生産金額では、埼玉県が2.6倍の9016億円と急拡大した。2位には栃木県が84.8%増の3965億円、3位には前年トップの静岡県が24.7%増の8382億円と続いた。4位以降は富山県、滋賀県、兵庫県、山口県、愛知県、徳島県、神奈川県となった。トップ10のうち山口県と滋賀県は倍増を達成した一方、前年3位の大阪府はトップ10から姿を消した。
医薬部外品は34.4%増の1兆3434億円、初調査となる再生医療等製品は55億円となった。
一方、医療機器の国内生産金額は31.8%増の2兆5678億円。輸入金額は68.0%増の2兆7230億円、輸出金額は51.1%増の1兆0090億円、国内出荷金額は39.0%増の3兆9864億円となった。
19年の医薬品の輸入金額は12.5%減の2兆7531億円、海外向けに直接出荷する輸出金額は2.3倍の4425億円となった。国内出荷金額は14.5%増の11兆2236億円となった。
厚生労働省によると、今回の調査では新たな調査方法を取り入れることで、回収率の向上、定義の明確化などができるようになり、前年に比べてより正確に数値を公表できるようになったとしている。