厚生科学審議会臨床研究部会が13日に開かれ、2018年に施行された臨床研究法の見直しに向けた検討を開始した。国際共同治験を円滑に進める観点から、特定臨床研究に製薬企業等の「スポンサー」を導入することについては、研究の実施責任を負う病院長の抵抗感が大きいとの課題が指摘された。厚生労働省は、今後5~6回ほど議論した上で、必要な場合は同法や省令を改正して対応する見通し。
臨床研究の実施手続きなどを示した同法をめぐっては、施行後の状況変化を考慮した上で、必要な場合は「所要の措置」を取ることとしている。
そのため、20年度の厚生労働科学特別研究班では、同法に関する現時点での課題を抽出。▽国際的規制との整合性に必要なスポンサー概念の導入▽事務手続きの負担軽減▽癌、小児分野での適応外の問題▽観察研究の位置づけ――を挙げた。
多施設共同で特定臨床研究を実施する場合、参加医療機関ごとの研究責任医師が手続きを担うが、ICH-GCPでは、国際共同研究を円滑に運用するため、臨床試験の立案、運用に責任を負う製薬企業などによる「スポンサー」の概念を導入すべきと指摘されている。
これに対して、藤原康弘委員(医薬品医療機器総合機構理事長)は「病院長は傘下の臨床研究をきちんと把握しておきたいので、スポンサーに対する抵抗感は大きいと思う」と指摘。
佐藤暁洋委員(国立がん研究センター東病院臨床研究支援部門長)は、現行法について「各施設に責任医師がいて、医師の判断で様々なことが報告されたりされなかったりする。中央できちんと管理する視点で、この課題を議論することも大事」との考えを示した。
一方、事務手続きの簡素化について、山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「少しの変更でも認定臨床研究審査委員会(CRB)が招集されるため、煩雑さをできる限り解消し、軽微な変更の範囲を拡大すべき」とし、佐藤典宏委員(北海道大学病院臨床研究開発センター長)は「データを含めた信頼性、被験者保護が大事なポイントで、これらを損なわない程度に積極的に簡略化する方針で考えるべき」との考えを示した。