厚生労働省は7日、米ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療薬「ベクルリー点滴静注液」(一般名:レムデシビル)の添付文書について、重症患者に投与対象を限定した記載内容から中等症患者への投与も可能とするよう改めたことを公表した。供給の急増が難しい現状から、当面は重症患者に限定して配送する方針。
新型コロナウイルス感染症患者を対象とした国際共同第III相試験の最終報告書が提出されたことを踏まえ、医薬品医療機器総合機構(PMDA)とギリアドが協議した上で2020年12月25日付で改訂を実施した。
その結果、効能・効果に関連する注意の項目では、酸素吸入、体外式膜型人工肺(ECMO)等が必要な重症患者を対象としていたが、「新型コロナウイルス感染症による肺炎を有する患者」に投与するよう記載内容を改めた。
用法・用量に関連する注意の項目でも重症患者に対する記載内容を削除し、警告の項目では急性肝障害や肝機能障害に関する記載内容があったが、削除した。
重要な基本的注意の項目でも、これまで報告されていない副作用の恐れから、投与する場合は患者の臨床状態や臨床検査値をモニタリングすることとしていたが、削除した。また、急性腎障害が発現する可能性から、投与前と投与中は毎日腎機能検査するとしていたが、「定期的」に検査するよう改めた。その他の副作用の項目も新設し、悪心、貧血、静脈炎等を記載した。
一方、世界的な感染拡大の状況から、同剤の日本への供給量を直ちに急増させることは難しい状況とし、当面の間は配送対象は重症患者のまま維持するとした。今後、配送対象を拡大できるよう同社と対応する考え。