同社が製造販売する抗真菌剤「イトラコナゾール錠」に睡眠導入剤が混入している問題をめぐっては、厚労省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)、福井県が2020年12月21、22の両日に全製品を対象に立ち入り調査を実施。試験結果の評価手順の不備などが認められ、同社が後発品16品目の自主回収を行うと発表した。
自主回収を行う対象品目は、▽アムロジピンOD錠5mg「KN」▽塩酸プロピベリン錠10「KN」▽クエチアピン錠12.5mg「MEEK」▽クラリスロマイシン錠50小児用「MEEK」――など。
同社による大規模な自主回収や供給停止を受け、厚労省は2020年12月18日に日薬連会長宛てに、必要な量の医療用医薬品を供給できない場合は医療機関や薬局、卸売販売業者に必要な情報提供を行うよう通知を発出。厚労省医政局経済課と同社が相談を行った結果、医薬品の供給調整が必要と判断され、日薬連が医療用医薬品供給調整スキームを発動した。
同スキームは、数量ベースで市場シェア30%以上(コロナ特別運用では20%以上)の医薬品で1カ月以上欠品が見込まれる場合に、予め定めた手順に基づき経済課と協力して迅速に供給調整を行う枠組み。
現在、会員企業内から供給調整チームを招集中であり、同社と厚労省が決めた対象製品の関連企業には、チームへの担当者登録を指示している。今後、該当する成分に関連した医薬品を保有する企業に在庫数量、増産数量等を確認し、医療現場が混乱しないよう代替製品を安定供給できるよう今月下旬をメドに各社と調整する。
また、同社は医療機関での重複登録や未処方が見つかったため、3日時点での睡眠導入剤が混入したイトラコナゾール錠の処方患者数を当初公表していた364人から344人、健康被害を受けた患者を217人から207人に修正した。
■代替品の提示要請‐日薬が申し入れ
日本薬剤師会は、同社と日本ジェネリック製薬協会、日薬連、厚労省に対し、医療用医薬品の供給不足に対応した代替品の確保などを求める申し入れを行った。
他社製品を含めた代替薬の確保と、具体的な品目名や入手ルートなどの薬局・医療機関への早急な提示を求めた。特に同社の売上シェアが高い品目や、医療上必要性が高い品目については、患者の治療に影響を与えることがないよう万全の対応を行い、その経過や結果を報告・連絡するよう要請した。
一方、日本病院薬剤師会や日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会に対しては、代替品の買い占め行為などを慎むことや、必要な場合には薬局間で医薬品を融通するなど適切な行動を取るなど協力体制を呼びかけた。