■文科省中間調査
文部科学省は2020年12月23日の「薬学実務実習に関する連絡会議」で、2020年度薬学実務実習中間調査の結果を公表した。実習日数を変更したケースや、薬局や病院で行う臨地実習や指導薬剤師が行う遠隔実習のいずれも実施できなかった項目があったなど、新型コロナウイルス感染症の影響が浮き彫りとなった。
調査は2020年10月から2カ月間、20年度に実務実習を行った74大学全てにメールで実施した。実務実習は病院と薬局の各施設で11週間ずつ行うが、実際の実習計画では共に55日間が最多を占めた。理由として、新型コロナウイルスの感染拡大状況や緊急事態宣言の発令を踏まえた回答などが見られた。
実習日数の変更については、57校が「変更なし」と回答した一方、14校が「短縮した」と回答した。短縮した大学を見ると、レポート課題やオンライン学習で補完したなどの対応が見られた。変更なしとした大学でも、病院実習で9週間に短縮された学生も報告された。
実習施設での実習中止によって生じた期間の対応として、37大学が指導薬剤師による講義等を行う遠隔実習を実施。18大学が遠隔実習に加え大学教員による補完実習も行っていた。
ただ、施設別に臨地実習と遠隔実習のいずれもできなかった実習項目は、薬局では「地域におけるチーム医療」「災害時医療と薬剤師」「在宅医療・介護への参画」の順に多く、病院では「災害時医療と薬剤師」「地域におけるチーム医療」「医療機関におけるチーム医療」の順となった。
調査結果を踏まえ、文科省は来年度の薬学実務実習を行う際に大学が留意すべき対応案を示し、概ね了承された。今月中をメドに各大学に周知したい考え。
実習日数については、短縮スケジュールでの実施しかできない例などが見られたとして、大学に対して実習開始日の変更、実習日の追加などを検討することで、薬局・病院で十分な臨地実習を確保すべきとした。
臨地実習、遠隔実習のいずれでも実施できなかった項目があったため、実習前は実習内容を調整し、実習実施中は実施状況を把握し、代替方法の提案について指導薬剤師を支援するよう大学に求めた。