厚生労働省は、来年以降も初診を含むオンライン診療の恒久化に関する検討を継続する。21日に開催した「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で了承された。年内に一定の方向性を示す予定だったが、新型コロナウイルス感染症の再拡大で結論を見送った。来年6月に取りまとめた上で、関係学会などでの検討を踏まえ、来秋をメドにオンライン診療に関する指針を改定する計画だ。
初診を含めたオンライン診療をめぐっては、新型コロナウイルスの感染拡大で特例的に実施を認める措置が運用されている。オンライン診療の恒久化を目指す政府の方針を受け、検討会で年内に一定の方向性を示すことを念頭に検討を進めてきたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大を背景に、時限的・特例的措置を当面継続し、来年以降も引き続き検討を続けることを決めた。
今後は、初診オンライン診療を実施していく上で、安全性・信頼性を十分に確保するためのルールを検討していく。主な検討事項としては、▽事前説明・同意▽研修の充実と必須化▽受診歴のない患者の場合の取り扱い▽オンライン診療が不適の症例に対する事前トリアージ▽処方薬などの制限――の五つ。
この日の検討会では、事前トリアージについて議論した。厚労省から、初診からオンライン診療を行う場合は、不適切な症状や状態の患者を事前に除外するためにオンライントリアージ、電話トリアージを受けることを必須とする対応案が示されたが、委員から様々な意見が出たことから、次回以降に検討していくことになった。
事前説明・合意については、再診を念頭としたオンライン診療の事前説明・同意を基本に、初診における同意すべき事項と確認方法を改定指針で盛り込むなどの方向性が概ね了承された。医師は患者に対して、対面診療が必要になる場合があること、対面診療が必要な場合には対面診療を実施する医療機関を確認することなどを事前に説明し、同意を得るとした。今後の検討会で具体的に内容を詰める。
処方薬などの制限については、医学的にリスクが高い未承認・適応外薬など各主要学会の意見を取りまとめ、対応していくとした。