医薬・生活衛生局の予算案は、前年度比6.2%の増額となった。9月の概算要求で新型コロナウイルス感染症に関連した項目については、金額を明示せずに緊急要望として事項要求していた。医薬・生活衛生局が概算要求した全ての項目が21年度予算、20年度第3次補正予算のいずれかで認められた格好。
薬剤師・薬局関係予算案は2億1800万円と減額となったが、第3次補正予算案で別途、39億7000万円が充てられた。薬剤師の資質向上が課題となる中、薬剤師の卒後臨床研修にかかる調査には新規で3200万円を計上。免許取得後の薬剤師に対し、医療機関などで卒後研修を行うモデル事業の実施、全国で用いられる共通のカリキュラム作成のための調査を実施する。
また、薬剤師確保のための調査・検討には2400万円を充てた。医療機関・薬局の薬剤師の地域偏在などに対応するため、各都道府県による薬剤師を確保するための取り組み事例を収集し、課題への対応策を調査・検討する。
第3次補正予算でも新型コロナウイルス感染拡大防止対策に資するため、薬剤師のICTを活用した業務の研修に向けた調査・検討でも3200万円を新たに盛り込んだ。
一方、新型コロナウイルス感染症の流行を受けたポストコロナ時代を見据えた対応としては21年度予算で6億9800万円を計上。海外からの未承認医薬品による健康被害を防止するため、各地方厚生局などの関係機関が輸入確認証の発給状況を共有し、効率的に監視指導ができるよう医薬品などの輸入確認手続のオンライン化に5億5700万円を充てた。
スイッチOTC化の推進に向けては、諸外国の医薬品承認制度や薬局・薬剤師の販売体制などを調査するための費用として、前年の1000万円から4000万円に増額した。
医療情報データベース活用推進事業では新規に6200万円を計上。安全性情報を的確に得るための副作用情報などの標準化の推進、アウトカム定義について検討・共有するためのコンソーシアムを設置する。
第3次補正予算では電子処方箋のシステム構築に概算要求通り38億0300万円、オンライン技術を用いた治験のデータ信頼性確保などのガイダンス作成には4000万円を充てる。
概算要求には含まれていなかった項目として、特殊免疫グロブリン製剤の供給体制整備に9億8900万円、MID-NETの遠隔利用環境等の整備事業に7億9300万円が新たに盛り込まれた。