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【医薬品第二部会】アビガン承認は継続審議-有効性の明確な判断難しく

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2020年12月23日 AM11:00

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は21日、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス剤「アビガン錠200mg」について、新型コロナウイルス感染症を効能・効果に追加する一部変更承認を審議したが、現段階では承認を認めず、継続審議することを決めた。得られた臨床試験データからは有効性を明確に判断することが困難として、企業からの追加データ提出後に改めて医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査し、再審議を行う予定だ。追加データの提出時期は不明としており、承認時期は大きくずれ込みそうだ。

新型・再興型インフルエンザ治療剤として承認されている同剤をめぐっては、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することで増殖を防ぐ作用機序を持ち、同種のRNAウイルスを持つ新型コロナウイルスに対しても効果が期待されていた。

人工呼吸器や酸素療法が不要な肺炎を罹患する入院患者156例を対象に実施した国内第III相試験では、胸部画像などでの症状軽快とウイルスの陰性化までの時間を検討した主要評価項目の中央値について、アビガン投与群が11.9日、プラセボ投与群が14.7日と有意差が認められ、早期に症状改善することが示された。こうした結果を受け、同社は9月に新型コロナウイルスの効能・効果を追加する一変申請を厚労省に提出していた。

しかし、この日の審議会では、現時点で得られたデータから、同剤の有効性を明確に判断することは困難と疑義が呈されたため、米国等で実施中の第III相試験結果等の早期提出を待って、継続審議することを決めた。

通常の臨床試験はアビガン投与群とプラセボ投与群に割り付け、医師にも被験者にも知らせずに投薬される二重盲検試験で実施される。しかし今回の治験では、被験者のみ割り付けられた薬剤を知らせずに投薬して比較する単盲検試験での治験デザインであるため、委員からは有効性に関するデータに影響しているとの懸念が示された。

さらに、単盲検試験で実施されていることから、主要評価項目以外の副次評価項目における結果の臨床的意義も重要とされたため、承認可否の判断を先送りにすることにした。

今後、米国などで実施中の二重盲検による海外臨床試験の追加データ提出後に、PMDAで審査を行い、薬食審で再審議する予定。厚労省はデータの提出時期について「現時点では不明」としている。

医薬・生活衛生局の吉田易範医薬品審査管理課長は審議後、記者団に対し、「明確に有効性が示されたわけではないが、否定されたわけでもない」と強調した。

重症患者を対象とした新型コロナウイルス治療薬では、抗ウイルス薬「レムデシビル」(販売名:ベクルリー)と抗炎症薬「デキサメタゾン」が承認されているが、アビガンが承認されると非重篤の新型コロナウイルス感染症では初の治療薬となる。早期承認を求める声もあったが、国内申請後から薬食審での審議までに3カ月を要するなど慎重な審査が行われている。

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