2剤以上TKI治療歴のある慢性期Ph+CML-CP患者対象
スイス・ノバルティス社は12月8日、新規治験薬アシミニブについて、第3相ASCEMBL試験の結果、投与24週時点で、2剤以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML-CP)患者において、ボスチニブに比べ約2倍の分子遺伝学的大寛解(MMR)率を達成したことを示したと発表した。今回のデータは、第62回米国血液学会議で発表され、2021年上半期に規制当局に提出される予定だとしている。
慢性骨髄性白血病(CML)治療の進歩にも関わらず、依然として多くの患者が疾患進行のリスクにさらされており、逐次的なTKI療法は抵抗性や不耐容の増加に関連している可能性がある。過去に2種類のTKI治療で効果がみられなくなった患者を対象とした試験の解析では、最大55%で治療への不耐容が報告された。また、late line治療の患者で治療抵抗性を示す割合はいまだに高い。
二次治療では、5人中少なくとも3人以上の患者がMMRを達成できず、最大で56%の患者は2年間の追跡調査期間内に分子遺伝学的完全寛解(CCyR)に到達していない。この後の治療選択肢はほとんどなく、現時点では治療ガイドラインに準拠する三次治療の標準治療が確立されていない中で、2剤以上のTKI治療に抵抗性または不耐容を示す患者は高い疾患進行リスクにさらされている。
CMLのlate line治療におけるTKIへの抵抗性などに対処できる可能性を有するSTAMP阻害剤
アシミニブ(ABL001)はABLミリストイルポケット(STAMP)を特異的に標的とする治験薬。STAMP阻害剤として、CMLのlate line治療におけるTKIへの抵抗性や不耐容に対処できる可能性があることから、CMLの多様な治療ラインにある患者への有効性が期待され、複数の治験で検討されている。
ASCEMBL試験は、アシミニブとボスチニブと比較する、第3相、多施設共同、非盲検無作為化試験。試験には、直近のTKI治療に抵抗性または不耐容であった患者233人が無作為化され、アシミニブ40mgを1日2回(n=157)、またはボスチニブ500mgを1日1回(n=76)のいずれかが投与された。
アシミニブ、ボスチニブより約2倍のMMR率
同試験の結果、少なくとも2剤以上のTKI治療に抵抗性または不耐容な患者において、アシミニブはボスチニブに比べて、24週時点のMMR率が約2倍となった(それぞれ25.5%vs.13.2%、[共通リスク差12.2%,95%信頼区間(CI), 2.19-22.3];両側のP値=0.029)。
また、投与24週時点で、アシミニブ群(40.8%)ではボスチニブ群(24.2%)と比べてCCyRを達成した患者が多く、深い分子学的奏効(DMR)に到達した割合もアシミニブ群がボスチニブ群よりも高かった。
グレード3以上の有害事象(AE)の発現率は、アシミニブ群とボスチニブ群で、それぞれ50.6%と60.5%だった。AEによる投与中止率は、アシミニブ群で5.8%だったのに対して、ボスチニブ群では21.1%。同様に、休薬や用量調節、あるいはその両方を必要としたAEの報告頻度は、ボスチニブ群と比べてアシミニブ群で低いとの結果が得られた(それぞれ37.8%vs.60.5%)。データカットオフ時点で、アシミニブ群では、ボスチニブ群よりも多くの患者が投与を継続していた(それぞれ61.8%vs.30.3%)。
同社は、今回のデータについて、アシミニブがlate line治療において忍容できない副作用に苦しむCML患者の助けになる可能性をさらに強く示した、としている。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース