中間年改定は、2019年10月の消費増税時に実施されているが、2021年度が実質的に毎年薬価改定の初年度となる。9月に実施した薬価調査の平均乖離率8%の0.625倍を超える品目を対象とすることに決まった。
対象品目は、市場で流通している約1万7600品目の69%となる1万2000品目が該当する。新薬では59%の1350品目、新薬創出等加算品目では40%の240品目が含まれている。
長期収載品では88%の1490品目、後発品は83%の8200品目と、8割以上の品目に影響が及ぶほか、1967年以前に収載された「その他の品目」は31%の1340品目となった。
新型コロナウイルスによる影響については、2年前の消費増税に伴う中間年調査の平均乖離率約7.2%から0.8%上回ったことを新型コロナウイルスによる影響と勘案し、「新型コロナウイルス感染症特例」として薬価の削減幅を0.8%分緩和する。
通常の薬価改定では、市場実勢価格の加重平均値に基づき、市場の流通安定の観点から調整幅として一律2%が上乗せされているが、2021年4月の改定では市場実勢価格の加重平均値に2.8%を上乗せする。
薬剤費の削減額は4300億円程度、国費ベースでは1000億円程度になる見通しである。厚生労働省は当初、平均乖離率1倍超、1.2倍以上、1.5倍以上、2.0倍以上の四つのカテゴリーで対象品目と医療費への影響を試算していたが、国民負担軽減の観点からできる限り対象を広くすることが適当と判断。平均乖離率1倍未満の対象品目を検討した。
15年度の薬価調査実績から、2年分の価格乖離の2分の1から4分の3が薬価改定年度に発生すると推定。平均乖離率1倍超の2分の1から4分の3に相当する「0.5倍~0.75倍」を推定値として対象範囲の議論を進めた結果、0.5倍~0.75倍の中間である0.625倍を超える価格乖離の大きな品目を対象とすることで決着した。
医療界や製薬業界は、中間年改定はできるだけ最小限の範囲にとどめ、平均乖離率2.0倍以上を対象品目とするよう求めていたが、厳しい結果となった。新薬、後発品、長期収載品と幅広く対象品目となるため、企業の業績に大きな影響を与えそうだ。