今回の国内申請は、同ワクチンの国際共同第III相試験のデータに基づくもの。既に両社は、一部の非臨床試験、品質・臨床試験に関する資料を提出している。
同試験では、主要評価項目である2回目接種7日後から評価した新型コロナウイルス感染歴のない被験者集団、新型コロナウイルス感染歴のある被験者とない被験者を含む集団の両方で、ワクチンの予防効果は95%となった。
国内では日本人における同ワクチンの安全性、忍容性、免疫原性を評価する第I/II相試験が進められており、2回目の接種を完了済み。2021年2月にはデータがまとまる見込みで、今回の資料に追加して提出する予定だ。
厚労省は、今回提出されたデータを活用した早期承認を視野に入れているが、審査には慎重な姿勢で臨む方針。田村氏は、同日の記者会見で「米国では緊急使用許可が出たが、わが国ではしっかりとデータを見た上でという話になる。最優先で審査する」との考えを示した。
さらに、副反応の可能性に言及。「海外で副反応の収集が始まっているので、しっかりと情報収集し、事象が起こって申請があった場合、データとして分析したい。また、ワクチン全般でアレルギー反応がごく稀にあることも踏まえて審査する」と述べた。
同ワクチンについては、既に日本政府がファイザーから2021年6月末までに6000万人分の供給を受ける基本合意を締結している。温度変化に弱いmRNAを含有しているため、マイナス70℃以下で輸送、保管する必要がある。
そのため、政府はマイナス75℃の冷凍庫3000台を確保する予定。承認を取得した場合、ファイザーは国内倉庫からドライアイスを入れた保冷ボックスに保管し、医療機関や接種場所に配送する計画である。
<訂正>記事中、日本政府がファイザーから2021年6月末までに6000万人分の供給を受ける「契約」とあるのは、「基本合意」の誤りでした。お詫びして訂正します。