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レンビマ/キイトルーダ併用、進行性子宮内膜がんP3試験でOSとPFS達成-エーザイと米メルク

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2020年12月18日 AM11:45

副次評価項目のORRも達成

エーザイ株式会社と米Merck社は12月16日、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)および米メルク社の抗PD-1抗体「(R)」(一般名:)の併用療法について、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がんを対象とした臨床第3相試験(309試験/KEYNOTE-775試験)の全生存期間(Overall Survival:OS)と無増悪生存期間(Progression-Free Survival:PFS)の2つの主要評価項目および奏効率(Objective Response Rate:ORR)の副次評価項目を達成したことを発表した。両社は、同試験のデータに基づく販売承認申請を目指し、世界各国の当局と協議を行う。なお、同試験の結果の詳細については、今後の学会で発表する予定だ。

今回の結果は、Intention-To-Treat(ITT)集団ならびにミスマッチ修復機能(mismatch repair proficient:pMMR)を有するサブグループにおいて得られた。ITT集団には、pMMRまたは高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability-high:MSI-H)/ミスマッチ修復機構欠損(mismatch repair deficient:dMMR)を有する子宮内膜がん患者が含まれる。

独立データモニタリング委員会による解析の結果、同併用療法は、OS、PFSおよびORRについて、治験医師選択化学療法(ドキソルビシンまたはパクリタキセル)に対する統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。なお、同併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている臨床試験のものと同様だったという。

少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がんを対象に

309試験/KEYNOTE-775試験は、111試験/KEYNOTE-146試験の検証試験。少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がんを対象とした、レンビマとキイトルーダ併用療法を評価する、多施設共同、非盲検、無作為化の臨床第3相試験。2つの主要評価項目はOS、およびRECISTv1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるPFS。副次評価項目は、RECISTv1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるORR、および安全性/忍容性。

827人の登録患者のうち、697人がMSI-Hを有さない、またはpMMRを有する患者であり、130人がMSI-Hを有する、またはdMMRを有する患者だった。登録患者は、レンビマ(20mg、1日1回経口投与)/キイトルーダ(200mg 3週ごと静脈内投与を1サイクルとし最大で35サイクル(約2年)まで投与)の併用、または治験医師選択化学療法(ドキソルビシン(60mg/m2 3週ごと静脈内投与で総投与量500mg/m2以下)またはパクリタキセル(4週を1サイクルとして80mg/m2 週1回静脈内投与を3週連続し、1週間休薬))に、1:1で割り付けられた。

子宮内膜がんは、子宮の内層に発生し、子宮における最も発生頻度の高いがん。子宮内膜がんの罹患者数は2018年において、世界で38万2,000人以上と推定され、約9万人が亡くなったとされている。なお、これらの見積もりは子宮内膜がんに加えて子宮肉腫の数が含まれている。子宮内膜がんは子宮体がんの90%以上を占めるとされており、子宮内膜がんのみの数はこの数よりもやや少ないと考えられる。日本では2018年に約1万6,000が新たに子宮体がんと診断され、約2,500人が亡くなられたとされている。米国では2020年に約6万6,000以上が新たに子宮体がんと診断され、約1万3,000人が亡くなると推定されている。進行性または転移性子宮内膜がん(stage IV)の5年生存率は約17%と推計されている。

進行性子宮内膜がんの一次治療として評価するP3試験など進行中

レンビマとキイトルーダの併用療法は、2019年に111試験/KEYNOTE-146試験結果に基づき、全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応なMSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない子宮内膜がんにおける適応について、米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得している。同迅速承認は、奏効率および奏効期間の結果に基づいており、FDA Oncology Center of Excellenceが主導する複数国の当局による同時申請・審査に向けた国際的な枠組みであるProject Orbisによる初めての承認となった。Project Orbisのもと、同適応について、カナダ保健省(Health Canada)から条件付き承認を、オーストラリア医療製品管理局(Australian Therapeutic Goods Administration)から暫定的承認をそれぞれ取得した。

両社は、LEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて、進行性子宮内膜がんの一次治療としてレンビマとキイトルーダの併用療法を評価する臨床第3相試験(LEAP-001試験)を含む13種類のがんにおける20の臨床試験を進めている。

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