体内を高画質に描出可能な1.5テスラMRIと高精度に放射線を照射するリニアックを一体化
東北大学は12月9日、従来よりも高精度にがん放射線治療が可能である「Elekta Unity MRリニアックシステム(以下、Elekta Unity)」を導入する契約を、同大病院がエレクタ株式会社と締結したと発表した。なお、治療開始は2021年10月頃の予定としている。
画像はリリースより
Elekta Unityは、体内を高画質に描出可能な1.5テスラMRIと高精度に放射線を照射するリニアックを一体化させた世界初の高磁場MRI画像誘導がん放射線治療装置。同装置は、照射直前にその日の腫瘍と周辺の重要臓器の位置や形状をMRIで確認し、オンラインで「その日の治療計画」を作成。腫瘍位置の変化に対応するマージンを最小化することで、健常組織への放射線の影響を最小限に抑えながら、腫瘍への照射線量を高めることができる。
腫瘍のMRI画像をリアルタイムで取得でき、照射による周辺組織への影響を最小限に
また、照射開始から終了までリアルタイムで腫瘍や重要臓器の位置・形状の変化をMRIで監視することができる。MRIは放射線を使わないため、従来のX線透視装置やCTと異なり、画像誘導のための被ばくがない。例えば、小腸が治療中に照射野内に移動した場合に、医師がそれを目視で確認できるため、照射を一時中断することも可能となり、より安全な放射線治療を提供することができる。
さらに、高磁場MRIでは解剖情報のみならず、腫瘍内の機能情報も取得できるため、今後、腫瘍内の細胞活動を測定することで、放射線に対する腫瘍の反応を早期に予測し、治療計画を変更することが可能となることが期待される。
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・東北大学 プレスリリース