主要評価項目は、投与8週終了時にCMV血症が消失した患者割合
武田薬品工業株式会社は12月7日、移植後の難治性/抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)感染治療薬TAK-620(一般名:maribavir)の有効性および安全性を評価する臨床第3相試験TAK-620-303(SOLSTICE)試験(NCT02931539)の結果を発表した。SOLSTICE試験のデータは、今後の学会で発表予定だ。
NCT02931539試験は、既存の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1剤またはその併用)に、難治性または抵抗性のCMV感染に罹患する移植後の患者を対象に、maribavirまたは治験責任医師が認めた治療法(IAT)のいずれかを8週間投与して比較する多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照試験。
SOLSTICE試験の結果、IATとの比較で、投与8週終了時にCMV血症が消失した患者の割合と定義される主要評価項目を達成。また、投与8週終了時に達成し、さらに投与16週まで維持されたCMV血症の消失および症状コントロールと定義される主な副次的評価項目も達成した。新たな安全性シグナルは確認されず、maribavirはIATと比較して好中球減少症の発生率の低さと関連していたという。
SOTまたはHSCT両移植後のCMV感染治療薬としてP3試験実施中の抗ウイルス剤
maribavirは、経口投与可能な抗CMV化合物。現在、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HSCT)の両移植後のCMV感染患者の治療薬として臨床第3相試験が実施されている唯一の抗ウイルス剤だ。maribavirは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)やその他の規制当局によって承認されていない開発中の治療薬である。
maribavirは、欧州委員会から細胞性免疫障害を有する患者のCMV感染症の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けている。
また、FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者への治療薬として、maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っている。Breakthrough Therapy指定により、重篤な疾患に対して既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性のある臨床データを有する治験薬の開発ならびに評価が推進される。この指定は、FDAやEMAの移植患者におけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定だ。
なお、1つ以上の既存の抗CMV薬(バルガンシクロビル、ガンシクロビル、またはホスカルネット)に難治性または抵抗性のCMV感染を有する造血幹細胞移植(HSCT)および固形臓器移植(SOT)の移植患者を対象としたmaribavirの臨床第2相試験で、最もよくみられた有害事象は金属味または苦味と表現される味覚異常、続いて、悪心、嘔吐、下痢だった。好中球減少症は11%、腎機能障害は16%と報告された。
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