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慢性腰痛における筋活動と疼痛関連因子の改善は同時に生じる-畿央大ほか

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2020年12月08日 AM11:45

筋活動と疼痛関連因子の経時的な関連性は?

畿央大学は12月7日、慢性腰痛症例を対象に経時的に筋活動と疼痛関連因子の評価を行い、筋活動異常の改善と疼痛関連因子の改善が同時に生じることを明らかにしたと発表した。これは、同大大学院博士後期課程の重藤隼人氏と森岡周教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Pain Research」に掲載されている。


画像はリリースより

慢性腰痛患者には、立位で体幹を屈曲した時に、完全屈曲位で背筋群が弛緩する屈曲弛緩現象が減弱・消失することが報告されている。また、完全屈曲位から体幹を伸展させる時に背筋群の筋活動が増強もしくは減弱することも報告されている。さらに、慢性腰痛患者の痛みや能力障害には心理的因子や身体知覚異常などの多角的な因子が関連することも報告されている。これらの慢性腰痛患者に特徴的な筋活動と疼痛関連因子の関連性は十分に明らかになっていない。特に経時的な変化については、同時に変化するのか、どちらかの要素が先行して変化するのかといった経時的な関連性は検討されていなかった。

そこで研究では、経時的に筋活動と疼痛関連因子の評価を行い、シングルケースにおけるcross-lag correlation analysisを用いて、筋活動と疼痛関連因子の間の経時的な関連性を検証した。

立位体前屈時の屈曲弛緩現象の低下改善と身体知覚異常の改善は同時期に生じる

慢性腰痛を有する1症例を対象に、疼痛関連因子の評価と筋活動の評価を経時的に行った。疼痛評価としてShort-form McGill Pain Questionnaire-2(SFMPQ-2)、心理的因子の評価としてÖrebro Musculoskeletal Screening Questionnaire-12(OMSQ-12)、身体知覚異常の評価としてFremantle Back Awareness Questionnaire(FreBAQ)、能力障害の評価としてPatient-Specific Functional Scale(PSFS)を評価した。筋活動は表面筋電図を用いて、立位体前屈課題時の脊柱起立筋の筋活動を測定し、屈曲弛緩現象の指標である屈曲弛緩比率(FRR)、完全屈曲位(完全屈曲相)での筋活動、伸展させている時(伸展相)の筋活動を算出した。

その結果、立位体前屈における屈曲弛緩現象の低下の改善と身体知覚異常の改善が同時期に生じることが明らかになった。また、体幹を伸展する時の筋活動の改善と痛み、心理的因子、能力障害の改善も同時期に生じることも示された。

今回の研究成果は、慢性腰痛患者の経時的な疼痛関連因子の変化が、経時的な筋活動の変化に影響することを示唆するものだ。「今後、サンプルサイズを増やしてさらなる経時的な関連性の特徴を検討するとともに、疼痛関連因子を考慮した慢性腰痛患者の筋活動に対するアプローチを提唱する臨床研究を進めていく予定だ」と、研究グループは述べている。

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