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【薬食審部会】SMA薬問題で再発防止策-申請資料の事前評価など

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2020年12月07日 AM10:40


■薬食審部会で了承

ノバルティスファーマの脊髄性筋萎縮症(SMA)治療剤「ゾルゲンスマ点滴静注」の承認が同社の不適切な対応で遅れた問題について、3日の薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会で、同社がまとめた再発防止策を大筋で了承した。申請資料の信頼性が確実に保証されていることを事前評価して、データ改ざんを未然に防ぐことなどを盛り込んだ。

同剤をめぐっては、製造販売承認申請後に申請資料の一部に不適切なデータ操作が発覚したことに加え、先駆け審査指定制度の対象品目にもかかわらず、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の総合評価相談を十分活用せずに承認申請したことが問題視されていた。そのため、同社と行政側で再発防止策の内容を検討していた。

ゾルゲンスマは、米アベクシスが開発していたが、2018年にノバルティスが同社を買収。しかし、再発防止策では、買収後もアベクシスの信頼性保証部門の体制維持を許容していたため、信頼性保証に関する問題をタイムリーに把握できなかったと報告した。

海外で作成された申請資料を、国内法人が自ら確認する意識や国内申請に対する責任意識が低かったともしている。

そのため、国内法人が国内申請の責任者となり、申請資料の信頼性保証が確実なことを事前に評価すること、信頼性保証に関する意識の醸成や適切な対応を取るための体制強化を行うことなどを盛り込んだ。

一方、PMDAの相談制度の活用に関する問題については、国内法人とアベクシスの先駆け審査指定制度に対する理解が不足しており、人的リソースも不十分だったと記載。相談を完了せずに承認申請した場合の影響を正確に予測していなかったこと、審査対応の遅れが確認された際のスイス本社との連携も不十分だったとした。

これらを防ぐため、指定品目としての対応が十分かどうか事前評価を国内法人が行うこと、国内法人の意見を直接本社に意見できるようつながりを持ち、一貫性を持った解決策の要望を可能とするよう組織変更するとした。

この日示された再発防止策について、委員から否定的な声は出なかったものの、一部に情報が不十分な点があるとして、ノバルティスが修正することになった。部会で修正内容を了承後、同社から先駆的医薬品指定の希望があった場合について、厚生労働省は「再発防止策が適切に実施されたことを確認した上で、審査の俎上に載せたい」との考えを示した。

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