2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率低下の心不全対象P3試験の結果より
アストラゼネカ株式会社と小野薬品工業株式会社は11月30日、選択的SGLT2阻害剤フォシーガ(R)錠5mg、10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)について、標準治療を受けている慢性心不全(以下、心不全)に対する効能または効果の追加承認を、2020年11月27日、厚生労働省より取得したと発表した。今回の承認は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した心不全を対象とした第3相DAPA-HF試験の結果に基づくもの。同試験の結果は、2019年11月、「The New England Journal of Medicine」に掲載されている。
DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した(LVEF40%以下)心不全患者4,744例を対象に、フォシーガ(10mg、1日1回)を心不全の標準治療に追加投与した場合の効果を、プラセボと比較評価した国際多施設共同並行群間無作為化二重盲検比較試験。主要複合評価項目は、入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管疾患を原因とする死亡であり、追跡期間中央値は18.2か月だった。
同試験においてフォシーガは、標準治療との併用で、主要複合評価項目をプラセボと比べて26%低下させた。また、主要複合評価項目の構成項目である心血管死および心不全の悪化の両方において、全体的にリスクを低下。試験期間中、フォシーガ投与群では、患者21例ごとに、1件の心血管死、心不全による入院、または静脈注射による心不全治療につながる緊急受診を回避した。
同試験におけるフォシーガの安全性プロファイルは、本剤のこれまでの安全性プロファイルと一致していたという。
左室駆出率保持の心不全治療についても検証中、2021年後半頃に結果が出る見込み
フォシーガは、心血管死または心不全による入院を含む心不全の悪化による複合リスクを統計学的に有意に低下させた、初めてのSGLT2阻害剤。米国食品医薬品局、欧州医薬品庁などで、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認されている。
DAPA-HF試験は、フォシーガの心血管および腎に対する効果を評価する臨床プログラム「DapaCare」の一部。同プログラムではまた、第3相DAPA-CKD試験において慢性腎臓病患者の治療を検証している。さらに、第3相DELIVER試験において左室駆出率が保持された心不全患者の治療についても検証中であり、2021年後半に結果が出る見込みだ。
アストラゼネカの子会社であるアストラゼネカ株式会社は、2013年、フォシーガに関して、小野薬品工業株式会社と日本におけるコ・プロモーション契約を締結。同契約に基づき、小野薬品工業株式会社は、フォシーガ錠の日本における流通および販売を担い、アストラゼネカ株式会社と2型糖尿病および1型糖尿病においてコ・プロモーションを実施している。両社は慢性心不全においてもコ・プロモーションを実施するとしている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース