鈴木匡参考人(名古屋市立大学薬学研究科教授)は、薬学実務実習の展望として、画一的な実習から地域や実習生に合わせた実習への転換、時代のニーズに合った臨床準備教育の充実、指導薬剤師の質を担保することなどがより充実した実務実習に必要とした。
井上圭三参考人(帝京大学副学長)は、6年制薬学教育や現行のコアカリキュラムを導入した経緯を説明。
その上で、「薬剤師としての心構え」など、現行コアカリに盛り込まれた卒業時に必要な10項目が教育体制に与えた変化については「まだ途上にあり、努力する必要がある。コアカリをもう少し分かりやすい形に変え、切り捨てるところは大胆に切り捨てることも重要」と述べた。
野木渡構成員(日本精神科病院協会副会長)は、実習生を受け入れる医療機関の視点から「しっかりとした実習にするため、調剤・服薬指導に関する実技シミュレーションであるOSCEなどを修了した時点で何らかの資格を与えるべき」とした。
藤井江美構成員(日本保険薬局協会常務理事)は、実習生を受け入れる施設について「施設側はしっかり行っているが、学生側の回答はそうではないという乖離がある」と現状を指摘。平田收正参考人(大阪大学薬学研究科教授)は、「実習施設に関する評価はないが、学生からのフィードバックや大学からのアプローチはすべき」との考えを示した。
鈴木洋史構成員(東京大学病院薬剤部長)は、現場での問題解決能力を持った薬剤師養成のため、「科学的な考え方は全業務の基盤となるが、希薄になりつつあることを大変懸念している。各大学の研究の質をチェックすることも考えるべき」と訴えた。
一方、宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、一部大学について「定員数よりも在校生が多く、留年者数も多いなど大学の質的保証が取られていない。どう考えるか喫緊の課題だ」と指摘。
これに対して、文科省は「学生の定員は抑制対象に含まれず、大学設置認可申請があり、教育研究上支障がないと判断されれば認可する流れ」と説明する一方、「規制をかける可能性はゼロではないが、まずは国として薬剤師の数をどうすべきか決める必要がある」との考えを示した。