抗コリン剤、日本初の原発性腋窩多汗症用外用剤
科研製薬株式会社は11月18日、「エクロック(R)ゲル5%」(一般名:ソフピロニウム臭化物)について、原発性腋窩多汗症を効能または効果として薬価基準に収載されたこと、11月26日発売を予定していることを発表した。
画像はリリースより
エクロックは、神経伝達物質であるアセチルコリンの作用を阻害する抗コリン剤に分類される日本初の原発性腋窩多汗症用の外用剤。アセチルコリンは、ムスカリン受容体と結合することにより汗腺から発汗を誘発すると考えられている。同剤は、多汗症の原因となるエクリン汗腺のムスカリン受容体と結合することでアセチルコリンの結合を阻害し、発汗を抑制する。
1日1回の両腋窩への塗布で効果が期待でき、塗布の際にアプリケーター(塗布具)を用いることで手が薬液に触れることなく塗布が可能だという。
働き盛り世代の罹患率が高い原発性多汗症
原発性局所多汗症は、国内のガイドラインにおいて、「温熱や精神的負荷の有無いかんに関わらず、日常生活に支障をきたす程の大量の発汗を生じる状態」と定義されており、特にわきの下(腋窩)に生じる場合、原発性腋窩多汗症と言う。
原発性多汗症の特徴の一つとして、社会的な活動範囲が広く、生産性のある働き盛り世代の罹患率が高いことが挙げられている。そのため、患者は精神的な苦痛を受けているとされている。
なお、局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6か月以上認められ、「最初に症状がでるのが25歳以下であること」「対称性に発汗がみられること」「睡眠中は発汗が止まっていること」「1週間に1回以上多汗のエピソードがあること」「家族歴がみられること」「それらによって日常生活に支障をきたすこと」の6症状のうち2項目以上あてはまる場合に、多汗症と診断されている。
重症度判定については、重症度を自覚症状で評価する尺度であるHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)を用いる。患者の自覚症状によって1~4の4つに分類し、3または4に該当する場合を重症の指標としている。
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