厚生労働省は12日、OTC薬の購入に対するインセンティブを被保険者に付与するなど、セルフメディケーションの推進として保険者が取り組むべき内容を社会保障審議会医療保険部会に示し、了承された。医療保険制度の安定を目指したもので、OTC薬を使用した場合の医療費負担の削減効果を個別通知することなども盛り込んでおり、年内に具体策を検討する見通しだ。
この日の部会で厚労省は受診の必要性や医療機関の選択を適切に理解して受診する上手な医療のかかり方とセルフメディケーション推進を両立することで、医療者の負担軽減や医療保険制度の安定につながるとし、保険者が取り組むべき施策を示した。
具体的には、ヘルスケアポイントを被保険者に与えるなど、OTC薬購入等のセルフメディケーションに対するインセンティブを付与することを提案。
また、上手な医療のかかり方とOTC薬の推進を含めたセルフメディケーションに関する周知・広報を行うほか、被保険者のレセプトデータに基づき、OTC薬を使用した場合やセルフメディケーション税制を利用した場合の医療費負担の削減効果を個別に通知することなども盛り込んだ。
委員からは、賛同する意見が多数を占めた一方、被保険者に対するインセンティブ付与や医療費負担の削減効果の通知について、複数の保険者委員から「現実的視点に立ちながら、検討を深める必要がある」との意見が出た。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「かかりつけ薬剤師に相談するなど、専門家を活用してほしい」と述べた。