厚生労働省は、ヒトや動物など各分野における耐性菌の検出状況と抗菌薬の使用量動向をまとめた年次報告書を公表した。2019年の使用量は13年と比べて10.9%減少し、4年連続で減少した。ただ、「前年の使用量からの減少幅は乏しい」と評価し、医療従事者などに対する教育啓発活動を続ける必要があると指摘した。
報告書は、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターなど複数の調査結果をまとめ作成したもの。販売量に基づいたヒトにおける抗菌薬の使用量は、13年と比べて10.9%減少した13.28DIDで、内服薬が全体の91.8%を占めた。この結果について、4年連続で減少したものの、「18年の使用量からの減少幅は乏しい」と評価した。
内訳を見ると、マクロライド系(13年比20.6%減)、セファロスポリン系(22.7%減)、フルオロキノロン系(18.1%減)の順に使用比率が高かった。ただ、20年における減少率の目標値については、いずれの薬剤も到達できなかった。
注射用抗菌薬の使用量は13年よりも12.7%増加した。背景として、高齢者の増加で使用機会が増えている可能性があると見られる。
また、経口薬と注射用抗菌薬の使用量について重量ベースで使用状況を調査した結果、13年から30トン以上増加した599.6トンで、最多となった。
これらの結果を受け、報告書は「国民、医療従事者に様々な手法を用いた教育啓発活動を継続していく必要がある」とした。