中央社会保険医療協議会総会は11日、2021年度薬価改定に向け、薬価専門部会で検討することを決めた。業界からヒアリングも実施する。診療側委員からは、薬価調査の結果を精査した上で、慎重に検討することを求める意見が挙がった。
来年度薬価改定をめぐっては、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太方針)で「新型コロナウイルス感染症の影響も勘案して十分に検討し、決定する」としており、実際に薬価調査が実施され、現在は収集したデータの確認が行われている。
この日の総会で厚生労働省は、薬価改定の実施について、まず薬価専門部会で検討すると共に、関係業界から意見聴取を行うことを提案した。
診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は「調査結果がまだ公表されていない。新型コロナウイルスの影響で適切な調査結果が得られているか、その数字を正しく活用できるか分析が必要」との考えを示した。
松本吉郎委員(日本医師会常任理事)も、「調査結果を慎重に検討した上で、改定について改めて議論することは言うまでもない。現場は季節性インフルエンザの流行も踏まえた発熱患者の診療を担う地域医療の確保に尽力しているため、このままでは地域の医療機関がなくなるおそれがある」と、改定に慎重な姿勢を示した。
支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「調査の結果を踏まえ、改定をどうすべきか議論する必要がある」としつつ、「改定の範囲をどうすべきかなど、平常時のあり方も合わせて検討すべき」と注文をつけた。